天然鉱物中の不純物としての石綿の定量法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200635026A
報告書区分
総括
研究課題名
天然鉱物中の不純物としての石綿の定量法の開発に関する研究
課題番号
H18-労働-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
名古屋 俊士(早稲田大学理工学部学術院環境資源工学科)
研究分担者(所属機関)
  • 山崎 淳司(早稲田大学理工学部学術院環境資源工学科 )
  • 小西 淑人(日本作業環境測定協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
石綿障害予防規則等の一部を改正する省令の施行等に伴う、不純物として含まれる天然鉱物中の石綿含有率測定分析において、0.1パーセントまで含有率が測定できる方法が必要となったが、天然鉱物中に不純物として含有する石綿の分析方法については、定められた方法が無かった。また、天然鉱物の内、粉状原材料として使用するタルク、バーミキュライト、セピオライト、ブルーサイトの4種類の天然鉱物が規制の対象となり、その4鉱物に対する分析法の開発が急務となった。そこで、本研究に於いて、天然鉱物を0.1%まで精度良く分析する方法を検討した。
研究方法
天然鉱物の場合、セピオライトの様にトレモライトの繊維形態及び非繊維形態を示す鉱物が共存する鉱物もあるし、ブルーサイトの様に、リザルダイトが混入するためX線回折法では定量出来ない鉱物等もある。現状の定量分析精度等を加味して、天然鉱物の使用の判断基準は、規定されたX線回折装置を使用し、且つ所定の定量条件の下で、予めアスベストを添加してある標準物質のピーク強度を分析試料のピーク強度と比較することにより、使用の有無を判断することとした。
結果と考察
 そこで、これらのことを勘案し、分析用標準試料を下記のように作製した。
1)純粋タルク又は純粋バーミキュライトに0.5量% のトレモライトを含有させたもの、
2)純粋タルク又は純粋バーミキュライトに0.8量% のクリソタイルを含有させたもの、
3)純粋セピオライトに、2重量%のトレモライトを含 有させたものを用い、石綿が0.1重量%を  超えてい るか否かの判定をすることとした。
4)天然ブルーサイトについては、標準試料を用いず、X線回折分析と微分熱重量分析(DTG分析)  を行い、石綿が0.1重量%を超えているか否かの判定をすることとした。
結論
ブルーサイト及びバーミキュライトに関しては、新しい前処理法として、KCl処理法及び20%クエン酸処理法を開発した。また、標準試料を作製し、標準試料のピーク強度と比べることで0.1%含有の有無を判断する方法を確立した。行政は、この結果を、基安化発第0828002号に盛り込み通達として
告示した。

公開日・更新日

公開日
2007-05-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-01-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200635026C

成果

専門的・学術的観点からの成果
石綿障害予防規則等の一部を改正する省令の施行等に伴う、不純物として含まれる天然鉱物中の石綿含有率測定分析において、0.1パーセントまで含有率が測定できる方法が必要となったが、天然鉱物中に不純物として含有する石綿の分析方法については、定められた方法が無かった。そこで、本研究に於いて、天然鉱物を0.1%まで精度良く分析する方法を検討し、所定の成果を上げることが出来た。
臨床的観点からの成果
研究テーマから、臨床的観点からの成果は、無いと考える。
ガイドライン等の開発
本研究の成果は、平成18年8月28日に基安化発第0828001号として告示された「天然鉱物中の石綿含有率の分析方法について」に活かされている。本研究の成果なくして、基安化発第0828001号は考えられない。
その他行政的観点からの成果
JISA1481「建材製品中のアスベスト含有率測定方法」の改正が現在行われており、改正JISA1481に本研究の成果が盛り込まれ、吹き付けバーミキュライトをJISに取り入れることが出来た。
その他のインパクト
厚生労働省安全衛生部化学物質対策課に平成18年度依託事業として日本作業環境測定協会が受けた「天然鉱物中の石綿の分析について」の講習会資料として役立てることができた。また、平成19年度も同様な依託授業があり、全国8カ所で、この成果の講演会を行う。

発表件数

原著論文(和文)
1件
雑誌「作業環境」に投稿
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
第46回日本労働衛生工学会において発表
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
11件
厚生労働省の委託事業として、全国8カ所で講習会を開催、また、日本作業環境測定協会で2回講習会を開催、さらに、日本労働衛生工学会で講演会を1回開催し、成果の普及を行った。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
山崎淳司、
カリウム溶液処理によるバーミキュライト中の石綿含有の簡易同定
作業環境 , 28 (3) , 48-53  (2007)

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-