職業性呼吸器疾患の予防及び健康管理に関する研究

文献情報

文献番号
200635019A
報告書区分
総括
研究課題名
職業性呼吸器疾患の予防及び健康管理に関する研究
課題番号
H17-労働-一般-015
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
相澤 好治(北里大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 森永 謙二(労働安全衛生総合研究所 )
  • 中館 俊夫(昭和大学 医学部)
  • 村田 喜代史(滋賀医科大学 放射線医学)
  • 阿部 直(北里大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
産業界で生産されている多くの新規物質の安全性を評価するために細胞、動物、人の各レベルで吸入性物質の安全性評価法を開発し、新たな画像診断機器、肺機能評価基準値を用いてじん肺健康診断手法を適切に実行・評価することを目的とした。
研究方法
石綿代替繊維を用いてラットに対する鼻部吸入曝露にて実験を行い、肺磁界測定法、肺内滞留性、病理学的評価により肺障害性の安全性を検討した。また、特に溶接作業現場において人用携帯型肺磁界測定装置が、スクリーニング、胸部異常所見の検査に有用であるか確認した。胸膜プラークのモデルフィルムの理解し易い教材を作成することを検討した。エックス線写真条件とデジタルラジオグラフィー(DR)の条件の検討を行い、今後DRに移行可能であるかを検討した。じん肺法の「著しい呼吸機能障害の基準」を、日本人のデータに基づく予測式を用いた基準に改定可能かを検討した。
結果と考察
肺磁界測定法により、種々の石綿代替繊維の安全性評価が可能である。作業現場で、磁性粉じんの場合、携帯型肺磁界測定により肺内滞留粉じん量の推定が可能である。胸膜プラークのモデルフィルムの検討では、胸部直接撮影のフィルムのなかから類似陰影を呈する症例を収集し、横隔膜部の石灰化プラークの診断、陳旧性肺結核による胸膜石灰化所見と石灰化胸膜プラークとの鑑別は可能である。側胸部の非石灰化プラークは、CT写真と組み合わせると、より理解し易い教材になるものと思われる。じん肺健康診断に使用される胸部エックス線写真について、メーカーごとにじん肺診断のための適切なパラメータ条件を設定すればDR画像は利用できる可能性が示唆された。じん肺法の「著しい呼吸機能障害の基準」は日本人のデータに基づく予測式を用いた基準に改訂することが可能であると考えられた。
結論
動物および人を対象とする石綿代替繊維の安全性評価システムの実験モデルを構築した。
胸膜プラークのモデルフィルムの教材の作成は有用である。しかし、胸膜プラークとの鑑別が難しい場合があるので慎重を要する。じん肺健康診断に使用される胸部エックス線写真について、メーカーごとにじん肺診断のための適切なパラメータ条件を設定することにより、DR画像はじん肺健康診断に利用できる可能性が示唆された。現在使用しているじん肺法の「著しい呼吸機能障害の基準」は、日本人のデータに基づく予測式を用いた基準に改定することが可能であると考える。

公開日・更新日

公開日
2007-05-14
更新日
-

文献情報

文献番号
200635019B
報告書区分
総合
研究課題名
職業性呼吸器疾患の予防及び健康管理に関する研究
課題番号
H17-労働-一般-015
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
相澤 好治(北里大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 森永 謙二(労働安全衛生総合研究所)
  • 中館 俊夫(昭和大学 医学部)
  • 村田 喜代史(滋賀医科大学 放射線医学)
  • 阿部 直(北里大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
産業界で生産されている多くの新規物質の安全性を評価するために細胞、動物、人の各レベルで吸入性物質の安全性評価法を開発し、新たな画像診断機器、肺機能評価基準値を用いてじん肺健康診断手法を適切に実行・評価することを目的とした。
研究方法
石綿代替繊維を用いてラットに対する鼻部吸入曝露にて実験を行い、肺磁界測定法、肺内滞留性、病理学的評価により肺障害性の安全性を検討した。また、特に溶接作業現場において人用携帯型肺磁界測定装置が、スクリーニング、胸部異常所見の検査に有用であるか確認した。胸膜プラークのモデルフィルムの理解し易い教材を作成することを検討した。エックス線写真条件とデジタルラジオグラフィー(DR)の条件の検討を行い、今後DRに移行可能であるかを検討した。じん肺法の「著しい呼吸機能障害の基準」を、日本人のデータに基づく予測式を用いた基準に改定可能かを検討した。
結果と考察
肺磁界測定法により、種々の石綿代替繊維の安全性評価が可能である。作業現場で、磁性粉じんの場合、携帯型肺磁界測定により肺内滞留粉じん量の推定が可能である。胸膜プラークのモデルフィルムの検討では、胸部直接撮影のフィルムのなかから類似陰影を呈する症例を収集し、横隔膜部の石灰化プラークの診断、陳旧性肺結核による胸膜石灰化所見と石灰化胸膜プラークとの鑑別は可能である。側胸部の非石灰化プラークは、CT写真と組み合わせると、より理解し易い教材になるものと思われる。じん肺健康診断に使用される胸部エックス線写真について、メーカーごとにじん肺診断のための適切なパラメータ条件を設定すればDR画像は利用できる可能性が示唆された。じん肺法の「著しい呼吸機能障害の基準」は日本人のデータに基づく予測式を用いた基準に改訂することが可能であると考えられた。
結論
動物および人を対象とする石綿代替繊維の安全性評価システムの実験モデルを構築した。
胸膜プラークのモデルフィルムの教材の作成は有用である。しかし、胸膜プラークとの鑑別が難しい場合があるので慎重を要する。じん肺健康診断に使用される胸部エックス線写真について、メーカーごとにじん肺診断のための適切なパラメータ条件を設定することにより、DR画像はじん肺健康診断に利用できる可能性が示唆された。現在使用しているじん肺法の「著しい呼吸機能障害の基準」は、日本人のデータに基づく予測式を用いた基準に改定することが可能であると考える。

公開日・更新日

公開日
2007-05-14
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200635019C

成果

専門的・学術的観点からの成果
産業界で生産される多くの吸入性物質の安全性を評価するために細胞、動物、ヒトの各レベルでの安全性評価法を開発し、新たな画像診断機器、肺機能評価基準値を用いてじん肺健康診断手法を適切に実行・評価する方法を検討した。その結果、動物レベルでは、肺磁界測定法が安全性評価法として有用であった。また肺磁界測定装置は、作業現場での測定が可能であり、溶接作業等における健康診断/スクリーニング、労働衛生教育、胸部異常所見の精密検査に利用できるものと考えられた。
臨床的観点からの成果
胸膜プラークのモデルフィルムの検討では、横隔膜部の石灰化プラークの診断、陳旧性肺結核による胸膜石灰化所見との鑑別は可能である。側胸部の非石灰化プラークは、CT写真と組み合わせると有用である。じん肺健康診断に使用される胸部エックス線写真は、メーカーごとに適切なパラメータ条件を設定することによりデジタル・ラジオグラフィー(DR)画像で利用できる可能性が示唆された。じん肺法の「著しい呼吸機能障害の基準」は、日本人のデータに基づく予測式を用いた基準に改訂することが可能であると考えられた。
ガイドライン等の開発
本研究の成果を発展させることにより、「じん肺審査ハンドブック」の改訂およびじん肺の健康管理に役立てることが可能となる。
その他行政的観点からの成果
胸膜プラークのモデルフィルムの教材の作成は有用である。しかし、側胸部の非石灰化プラークは胸膜外脂肪組織との鑑別が難しく、CT写真と組み合わせて提示することにより理解し易い教材になると思われる。じん肺健康診断に使用される胸部エックス線写真は、メーカーごとにじん肺診断の適切なパラメータ条件を設定することによりDR画像に移行できる可能性が示唆された。現在使用しているじん肺法の「著しい呼吸機能障害の基準」は、日本人のデータに基づく予測式を用いた基準に改定することが可能であると考えられる。
その他のインパクト
肺磁界測定法を用いることにより、吸入性物質の安全性評価法の確立ができる。また、肺磁界測定装置による粉じん作業による健康障害の予防が可能となる。さらに新たな画像診断機器、肺機能評価基準値を用いたじん肺健康診断手法を確立することにより、我が国のじん肺の健康管理の体系にさらなる寄与が期待できる。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
9件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
5件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Kudo,Y., Kohyama,N. Aizawa,Y. et al
Behavior of new type of rock wool (HT Wool) in lungs after exposure by nasal inhalation in rats.
Environmental Health and Preventive Medicine , 10 (5) , 239-248  (2005)
原著論文2
Kudo,Y., Kohyama,N. Aizawa,Y. et al
Behavior of Rock Wool in Rat Lungs after Exposure by Nasal Inhalation
J Occup Health , 48 , 437-445  (2006)

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-