破断面から破断荷重を推定するための定量解析システムの開発

文献情報

文献番号
200635018A
報告書区分
総括
研究課題名
破断面から破断荷重を推定するための定量解析システムの開発
課題番号
H17-労働-一般-014
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山際 謙太(独立行政法人労働安全衛生総合研究所産業安全研究所機械システム安全研究グループ)
研究分担者(所属機関)
  • 酒井信介(東京大学工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では,破断面に数値解析手法を導入し,解析初心者でも簡単に,かつ迅速に破断荷重が評価できるデータベースシステムを開発する.これにより,定量的な破断荷重の評価と解析に関する知見の共有が可能になり,正確な事故解析に寄与することが可能となる.
研究方法
本研究は3年計画で独立行政法人労働安全衛生総合研究所と東京大学工学部で実施する.
第二年度である平成18度は,労働安全衛生総合研究所で疲労試験破面の最終破断部以降に観察される延性破面から破断荷重を推定する手法について開発を行った。
次に,労働安全衛生総合研究所と東京大学の共同で平成17年度に構築した破断面データベースに関して,データベースの内容表示画面とメンテナンス画面に関して,閲覧者の意見をもとに改善を行った.

結果と考察
延性破面の特徴であるディンプルの大きさは温度と関係があることが従来の研究から明らかになっているが,ディンプルの大きさは観察者の主観に依存した測定方法であった.これに対し,本研究ではディンプルの大きさを破面の電子顕微鏡画像に対し,画像処理を適用することで客観性の高い評価手法を確立した.その結果,延性破面から破壊温度の推定が可能となった.つまり,その温度で破壊試験を行えば,破断荷重が推定できるので,客観的な破断荷重推定が可能になった.
次に破面データベースの改善点について述べる.破面データベースの閲覧者から,特徴量(あらさ・フラクタル次元など)を表示する表に関して見づらいという意見が多かったことから,閲覧者が特徴量を選択して表示する仕組みを確立し,データベースの内容表示画面の見やすさを向上させた.また,昨年度と本年度行った破壊試験の破面を解析し,データの登録を行った.
結論
延性破面から破壊温度と破断荷重を推定する手法を提案した.この手法は,テクスチャ解析で使用されるランレングスの統計量であるLREを用いて,ディンプルの輪郭の間隔を評価する手法である.本研究では,温度の異なる単軸引張り試験を行い,得られた破面に適用した.その結果,温度が高くなるとディンプルが大きくなる傾向があるが,これを定量的に評価することが可能となった.その結果,破断荷重の推定が可能となった.次に,昨年度構築した破断面データベースに関してデータ表示の修正と登録修正を行うメンテナンス画面の構築を行った.また,得られた破面の破断面データベースへの登録を行った.

公開日・更新日

公開日
2007-04-26
更新日
-