リスクマネジメント教育の有効性評価に関する総合的研究

文献情報

文献番号
200635016A
報告書区分
総括
研究課題名
リスクマネジメント教育の有効性評価に関する総合的研究
課題番号
H17-労働-一般-012
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
臼井 伸之介(大阪大学 大学院人間科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 篠原 一光(大阪大学 大学院人間科学研究科 )
  • 山田 尚子(甲南女子大学 人間科学部)
  • 神田 幸治(名古屋工業大学 大学院工学研究科)
  • 中村 隆宏(労働安全衛生総合研究所)
  • 和田 一成(平安女学院大学 短期大学部)
  • 太刀掛 俊之(大阪大学 大学院人間科学研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
8,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
臼井ら(2005)が開発した不安全行動誘発・体験システムを用いることにより新たに構成したリスクマネジメント教育を、製造業、建設業等の業種を対象に実施する。そしてその有効性を実験・調査から多面的、実証的に検討することにより、各種リスク教育の有効性を客観的かつ簡便に評価するツールの開発を目的とする。
研究方法
次のA-Eの5グループにより研究を行った。A.不安全行動誘発・体験システムの改訂とその試行に関する研究:体験システムの改訂を図るため、「作業の違反」「注意の偏り」の各要因を操作した試行テストを大学生対象に行った。B.日常的注意経験質問紙の診断化に向けて:作成した質問紙の妥当性を高めるとともに、結果の診断化を図るため、注意・認知機能課題と質問紙結果との関連を実験的に検討した。C.違反およびヒューマンエラー発生メカニズムに関する研究:不安全行動のメカニズム解明により教育内容を充実化させるため、実験室実験および現場における実験と調査を行った。D.看護業務におけるリスク教育の有効性評価:有効性評価のため、体験システム等を用いたリスク教育を現場従事者に実施した。E.労働安全教育における体験型・体感型教育の展開:現場調査等により、現在産業界で実施されている体験型・体感型教育の現状と問題点をまとめた。
結果と考察
A.試行テスト等の分析から、現場従事者向け「作業の違反」「注意の偏りエラー」体験プログラムのシナリオを完成させた。B.日常的注意経験や失敗傾向の回答が、日常での注意のはたらきの特徴や失敗の起こりやすさを反映することを確認した。またパソコンで入力した失敗傾向等の回答結果を自動診断するプログラムを試験的に作成した。C.コスト要因のコントロール可能性が違反生起に影響すること、また「カード」を用いた中断エラー防止策について新たな知見を得た。D.体験システム等を用いたリスク教育がリスク認知・予測の向上に有効であること、その効果は持続すること、作業経験は教育の有効性に影響すること等を確認した。E.体験型教育の効果を向上させるための留意点について知見を得た。
結論
実験・調査結果を踏まえて体験システムの仕様を精緻化した。また体験システム等を用いたリスク教育の試行から、教育の有効性をある程度確認した。今後はさらにシステムのユーザビリティ向上を図り、有効性評価のための客観的評価指標の開発を引き続き検討する。

公開日・更新日

公開日
2007-04-26
更新日
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