産業現場における情報伝達の齟齬が災害発生機序に及ぼす影響に関する研究

文献情報

文献番号
200635015A
報告書区分
総括
研究課題名
産業現場における情報伝達の齟齬が災害発生機序に及ぼす影響に関する研究
課題番号
H17-労働-一般-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
石田 敏郎(早稲田大学 人間科学学術院)
研究分担者(所属機関)
  • 神田直弥(東北公益文科大学 公益学部)
  • 中村隆宏(独立行政法人 労働安全衛生総合研究所)
  • 高木元也(独立行政法人 労働安全衛生総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
産業現場ではコミュニケーションの不成立が災害につながる可能性がある.産業現場のコミュニケーション・エラー(以下,CE)として建設作業現場のCEをテーマとした.先行研究では建設作業現場のCEを独断作業型,設備不備型,計画不備型,媒体型,理解型の5パターンに分類し背後要因を指摘した.昨年度は5パターンのCEの実態を探るため,質問紙調査を行い全体的な分析により建設作業現場で5パターンのCEが認識されていることを明らかにした.今年度は質問紙調査の属性別などの詳細な分析を行った.次に,建設作業現場でのコミュニケーションの実態を検討するため現場調査を行うとともに,作業におけるCEの発生状況を検討するため質問紙調査の結果をもとにCE誘発実験を設定し予備実験を行った.
研究方法
現場調査では建設作業現場(河川測量作業)においてビデオカメラおよびワイヤレスピンマイクにより作業者の作業状況および発話を記録した.CE誘発実験では建設作業現場を模擬した状況下で2名1チームとなり2チームによる共同作業を行いCEの発生状況などを記録した.
結果と考察
質問紙調査では,CEの危険度に関して属性の違いによる差はなかった.頻度に関して作業者が他職位よりも低く評価するなど差が見られた.また,24歳以下および経験3年以下の回答者はCEのヒヤリハット経験頻度を低く評価する傾向にあった.作業員または経験20年以上の回答者は頻度を低く評価すると危険度を高く評価し,頻度を高く評価すると危険度を低く評価する傾向にあった.
現場調査では,作業環境,作業者の立場により発話内容,発話数が大きく異なった.安全に関する発話は少なかったが,「安全指示」は職長の発話が最も多く安全への配慮が伺えた.
CE誘発実験では,作業パフォーマンスに関してはタイムプレッシャーの影響,エリア別滞在時間および回数に関しては経験の有無の影響が見られたが,コミュニケーションおよびCEについては試行数が少なく特徴を検討するまでに至らなかった.
結論
質問紙調査ではCEの頻度,ヒヤリハット経験頻度に関して属性による違い見られた.観察調査では作業者の立場,作業環境により発話数,発話内容が異なることが明らかとなった.実験ではCEの特徴を検討するに至らなかったため,来年度は現在実施している本試行を分析し,さらに現場調査と,リスク評価およびその伝達に関する実験を行う予定である.

公開日・更新日

公開日
2007-04-26
更新日
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