中小建設業者の安全意識向上に資する労働災害損失の計測手法の開発に係る研究

文献情報

文献番号
200635013A
報告書区分
総括
研究課題名
中小建設業者の安全意識向上に資する労働災害損失の計測手法の開発に係る研究
課題番号
H17-労働-一般-009
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
高木 元也(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 産業安全研究所人間工学・リスク管理研究グループ)
研究分担者(所属機関)
  • 嘉納 成男(早稲田大学理工学部建築学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
6,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
重要な政策課題である中小建設業者の安全活動推進には企業経営者の安全意識向上が不可欠であり、このためには労働災害損失が企業、産業、社会に及ぼす影響の大きさを示すことが有効である。本研究は建設労働災害損失について、経済的損失の計測及び労働災害がもたらす建設産業のイメージ低下等の社会的損失の計測手法の構築等を試みる。
研究方法
 事業者レベルから見た間接的な経済的損失の計測手法の構築については、企業の社会的信用力の低下等の間接的な経済的損失の要素を抽出した上で、仮想価値評価法(事業者対象のアンケート調査等)等により間接的な経済的損失の計測手法を構築する。一方、社会的損失の現状分析については、建設業者及び一般市民の意識をアンケート調査し、労働災害の発生が建設産業の停滞、優秀な人材の確保の難しさ、及び工事現場の近隣住民への心理的負担等の現状を明らかにする。
結果と考察
 労働災害に伴う企業イメージや社会的信用力の低下による損失など、定量化が難しい間接的な損失について、アンケート調査によって金額算定することを試みた。その結果、アンケート調査の回答値から確率密度関数を定めることで、労働災害に伴う企業のイメージ・信用度の低下などによる間接的な損失額が特定の金額範囲となる確率を、会社の受注規模に応じて推定することができた。結果の信頼性評価などの課題はあるものの、今までは漠然と捉えられていた損失について、定量的に評価するひとつの方法を導けたといえる。一方、社会的損失の現状分析については、アンケート調査により、建築業への就業の推薦度と工事現場の労働安全の関係、作業者の離職と工事現場の労働安全性の関係等を分析することができた。
結論
 これらの研究成果に基づき、来年度は中小建設業者を対象とした実用的な労働災害損失計測システムの開発を行うとともに、中小建設業者の安全意識向上を図る観点からのとりまとめを行う予定である。一方、社会的損失については、今年度の結果に基づき、来年度は労働災害が及ぼす社会的損失の定量化を検討していきたい。

公開日・更新日

公開日
2007-04-26
更新日
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