文献情報
文献番号
200635010A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害者の一般就労と職場適応を支援するためのモデルプログラム開発に関する研究
課題番号
H17-労働-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
西尾 雅明(国立精神・神経センター精神保健研究所)
研究分担者(所属機関)
- 伊藤 順一郎(国立精神・神経センター精神保健研究所 )
- 大嶋 巌(日本社会事業大学)
- 松為 信雄(東京福祉大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
自立支援法施行,障害者雇用促進法改正を受け,障害者就労支援の技術・システム開発は重要課題となっている。本研究は,欧米で効果が実証されている『個別職業斡旋とサポートによる援助付き雇用プログラム(Individual Placement and Support:IPS)』を国内で初めて実践し,その評価を踏まえて,我が国に適合可能な精神障害者職場適応支援に関するモデルを開発しようとするものである。
研究方法
A)包括型地域生活支援プログラム(Assertive Community Treatment:ACT)とIPS統合モデル(無作為化比較試験), B)中都市・地域活動支援センターとIPS統合モデル(ウェイティングリスト法), C)小都市・既存社会資源とIPS統合モデル(事例分析中心)を実施し,医療・生活・職業面での援助効果に加え,支援活動プロセスを評価し,各プログラムの比較検討を通じて我が国における就労支援の在り方について提言を行う。
結果と考察
3ヶ年計画2年目の今年度は,臨床・研究体制整備と追跡調査の中間報告を行う。A)では,IPSユニット形成など臨床体制を構築し,平成17年11月から平成18年10月までに国府台病院精神科に入院した者で,重症度など一定の加入基準を満たす57名に研究参加を呼びかけ,同意者33名のうち17名を介入群に,16名を対照群に無作為割り付けを行った。今後,職業的成果に関する情報収集とともに,退院12ヶ月後に臨床評価など追跡調査を実施して,介入プログラムの援助効果を明らかにする。B)では, 同意取得後6ヶ月以内にIPSを開始する対象者を介入群(18名),7ヶ月以降に開始する対象者を対照群(18名)としてIPS開始6ヶ月後の一般就労率をみると,介入群は39%で対照群と比較して高い就労率を実現していた。C)の質的調査では,就労に至る4段階で求められるスタッフのかかわりの要件として,対等性,本人主体,エンパワメントなどの重要性を示した。
結論
各IPS統合モデルの研究実施体制も順調に整備され,IPSの利点を国内実施でも得られる可能性が示唆されている。今後の継続実施によってより多くのデータを収集し,事業所側に必要な関わりを分析することで,最終年度には,精神障害をもつ労働者の安全・健康の確保と快適な職場環境形成を促進する就労支援モデルを提言する予定である。
公開日・更新日
公開日
2007-12-06
更新日
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