交通労働災害防止のための安全衛生管理手法の高度化に関する研究

文献情報

文献番号
200635008A
報告書区分
総括
研究課題名
交通労働災害防止のための安全衛生管理手法の高度化に関する研究
課題番号
H17-労働-一般-004
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
中村 隆宏(独立行政法人労働安全衛生総合研究所人間工学・リスク管理研究グループ)
研究分担者(所属機関)
  • 篠原 一光(大阪大学大学院人間科学研究科)
  • 臼井 伸之介(大阪大学大学院人間科学研究科)
  • 小川 康恭(独立行政法人労働安全衛生総合研究所研究企画調整部)
  • 平田 衛(独立行政法人労働安全衛生総合研究所作業条件適応研究グループ)
  • 毛利一平(独立行政法人労働安全衛生総合研究所有害性評価研究グループ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
運輸・物流業界内の競争激化と労働環境悪化によって、労働者の安全と健康に及ぼす悪影響が懸念されるが、これらの状況は一般交通参加者をも巻き込んだ重大な災害へとつながりがちである。本研究は、自動車運転者に対する指導・教育を含め,運輸・運送業界における情勢の変化への対応を可能とする安全衛生管理手法の高度化について検討し、これからの交通労働災害防止対策立案のための知見を提供する。
研究方法
運輸・運送業に従事する労働者を対象に、その健康状態・生体負荷を測定し、日常的な労働環境、並びに様態の影響について検討する。また、シミュレーション実験を通じ、運転パフォーマンス低下の発生条件,頻度,程度等を測定し、心理的・生理的指標に基づき分析・把握する。これらの結果に基づき、これからの安全衛生管理に関して改善を図るべき項目について評価・検討を行う。
結果と考察
タクシー等運転手約500人からなるコホートを構築し追跡調査を行った。昨年度に実施したベースライン調査と今年度の追跡調査の結果を比較検討した。
また、運転パフォーマンスの測定実験実施のために、シミュレータの機能拡張を行った。
さらに、シミュレータ(Type B)用の高速道路モデルを用いた試行的実験及び疲労感や覚醒に関する検査を実施した。単調な長時間運転に伴う状態や運転の変化が発生し、また、使用する質問紙や検査手法によって、時間経過に伴う実験参加者の状態変化をとらえられることが確認された。
結論
追跡調査からは、労働のあり方、生活習慣、健康状況に関する指標に大きな変化はみられなかったが、ヒヤリ・ハット経験や労働強度指標の過去一年間における変化等からは、交通事故対策や運転手の健康関連QOL向上に寄与できる可能性のある知見を得ることができた。
シミュレータType Aにはスクリーン呈示条件での運転状況データを測定・記録する機能を、Type Bには道路モデルをループ状につなぎ長時間の測定を可能にする高速道路モデルを追加した。
実験では、構成した実験環境と質問紙・検査群により、長時間運転による実験参加者の状態変化を確認した。ただし、走行時間の設定や、実験条件の設定など考慮すべき点が残っており、今後はこれらの問題を解決した上で、実験パラダイムをはじめ条件設定、実験手続き等について詳細を検討し、より多くの実験参加者を用いた実験を行う必要がある。

公開日・更新日

公開日
2007-04-26
更新日
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