労働安全衛生マネジメントシステムでの労働衛生上のリスク対応に必要なアセスメントツール等の開発

文献情報

文献番号
200635004A
報告書区分
総括
研究課題名
労働安全衛生マネジメントシステムでの労働衛生上のリスク対応に必要なアセスメントツール等の開発
課題番号
H16-労働-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
森 晃爾(産業医科大学産業医実務研修センター)
研究分担者(所属機関)
  • 亀田 高志(産業医科大学産業医実務研修センター)
  • 武林 亨(慶應義塾大学医学部)
  • 堀江 正知(産業医科大学産業生態科学研究所)
  • 谷口 初美(産業医科大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、事業者による自律的安全衛生管理の具体的手法である労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)について、安全と健康のバランスのとれたシステム構築に必要な健康リスクを適切に管理するためのリスクアセスメント手法等の開発、およびそれらを前提としたOSHMS文書の開発を目的としている。
研究方法
昨年度までの研究において、各種健康障害要因(化学的要因、物理的要因、生物的要因、心理社会的要因)のリスクアセスメントツールの開発に加えて、産業保健専門職に対する教育プログラムの開発、OSHMSの導入による安全衛生レベル向上を評価するための指標、健康と安全のバランスを重視したOSHMSモデル文書の作成の開発が終わっている。最終年度となる本年度は、各リスクアセスメント手法の内容をさらに充実させた上で、実際の事業場においてそれらを活用し、結果の分析や産業保健専門職から意見をもとにリスクアセスメントルールの妥当性や有効性について検討を行った。また、OSHMSモデル文書に加え、各班の研究成果の一部を活用し、地域、業種、OSHMS導入状況が異なる事業場に、OSHMSに対する健康の要素の導入支援の試みを行った。
結果と考察
3年間にわたり、OSHMSにおける健康リスク対策を展開する上で有用なさまざまなツール類の作成を行った。作成の過程で、健康障害要因によっては既存のリスクアセスメント手法をOSHMSに導入するためにはいくつかの手法を組み合わせた手順を作成することが必要な場合や、新たにリスクアセスメント手法そのものを開発する必要がある場合など、要因ごとに異なる形式のツールが必要であることがわかった。これらリスクアセスメントツールに加えて、職務適性管理のための手順を含む健康リスク対策がバランスよく含まれた、基本方針例-システム文書-実施要領集から成るモデル文書体系や、自律的安全衛生活動の評価指標、産業保健専門職に対する教育プログラムが完成した。
結論
本研究の成果を活用し、OSHMSに関する教育を受けた産業保健専門職が一定の割合で関与すれば、必ずしも専属産業医のいない事業場においても、安全と健康のバランスのとれたOSHMSの導入と運用は可能であると考えられる。したがって今後の課題として、これらのツールが積極的に活用されるような仕組みの構築が必要と思われる。

公開日・更新日

公開日
2007-04-26
更新日
-

文献情報

文献番号
200635004B
報告書区分
総合
研究課題名
労働安全衛生マネジメントシステムでの労働衛生上のリスク対応に必要なアセスメントツール等の開発
課題番号
H16-労働-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
森 晃爾(産業医科大学産業医実務研修センター)
研究分担者(所属機関)
  • 武林 亨(慶應義塾大学医学部)
  • 堀江 正知(産業医科大学産業生態科学研究所)
  • 谷口 初美(産業医科大学医学部)
  • 亀田 高志(産業医科大学産業医実務研修センター)
  • 宋 裕姫(産業医科大学産業医実務研修センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)を用いた自律的な労働衛生(健康リスク)対策がわが国で展開されるためには多くの課題を解決する必要がある。安全リスク対策に加えて、健康リスク対策がバランスよく運営されるOSHMSの展開を目指して、それらの具体的な解決策の検討および開発を行った。
研究方法
わが国に導入されたOSHMSにおける健康リスク対策の展開の現状を確認した。その上で、職場に存在する健康障害要因についてリスクアセスメントツールの作成を、情報収集、文書化・システム化、妥当性および有効性の方法で作成を試みた。また、化学的健康障害要因については、リスクコミュニケーション手法の検討を行った。OSHMSの構築・運用ができる産業保健専門家の養成を行うために、教育方法や対象者が異なる教育プログラムを開発して、各種研修会で実施して、受講者からの評価を得た。OSHMS導入による安全衛生活動レベルの向上を評価するためのツールを作成した。またILOによるOSHMSのガイドライン(OSH-2001)をもとに基本方針-システム文書-実施要領集から成るモデル文書体系を作成した上で、実際の事業場において健康リスク対策のシステム導入の支援を行った。
結果と考察
本研究を通じて各種健康障害要因(化学的要因、物理的要因、生物的要因、心理社会的要因)のリスクアセスメントツールの開発に加えて、産業保健専門職に対する教育プログラムの開発、OSHMSの導入による安全衛生レベル向上を評価するための指標、健康と安全のバランスを重視したOSHMSモデル文書が完成し、その有効性と妥当性が確認された。
結論
わが国で導入されているOSHMSが健康リスク対策に比べて安全リスク対策に偏っている現状の存在およびその要因を明確にするとともに、健康リスク対策をOSHMSの中で運用するために必要なリスクアセスメントやモデル文書等のツールを作成した。これらのツールを活用すれば、専属産業医がいない事業場においても、一定の研修を受けた産業医などの産業保健専門職が関与すれば、OSHMSにおいて健康リスク対策を有効に実施できると考えられる。そのためには、今後これらのツールを活用した展開を積極的に行っていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2007-04-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-01-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200635004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究を通じて作成された研修プログラムを、主に産業医に向けに、日本産業衛生学会、産業医科大学、日本医師会等が開催するさまざまな場で実施している。受講者数は、延べ数として3000名程度に相当する。
臨床的観点からの成果
本研究で開発されたツールを活用して、専属の労働衛生専門家がいない中規模企業を対象とした労働安全衛生マネジメントシステムに関する研修・導入支援プログラムを作成し、数箇所の労働衛生機関を通じた導入支援の取り組みを開始した。
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
特記事項なし
その他のインパクト
本研究に関する研究成果合同発表会を公開で開催した。参加者数は約80名であり、産業医、労働衛生分野の研究者、労働安全衛生マネジメントシステムの認証を手がける監査機関、労働衛生コンサルタント等の出席があった。

発表件数

原著論文(和文)
0件
現在投稿中
原著論文(英文等)
0件
現在準備中
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
10件
日本産業衛生学会において発表
学会発表(国際学会等)
2件
International Congress of Occupational Healthおよびその分科会において発表
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
25件
開発された教育研修プログラムは、さまざまな研修機会で提供している。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-