「医療事故対応100選:事故の確定・原因究明・患者への説明(ないしは和解)における具体的な作業手順」の作成に関する研究

文献情報

文献番号
200634132A
報告書区分
総括
研究課題名
「医療事故対応100選:事故の確定・原因究明・患者への説明(ないしは和解)における具体的な作業手順」の作成に関する研究
課題番号
H18-医療-若手-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
前田 正一(東京大学大学院医学系研究科医療安全管理学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 呉 正美(東京大学大学院医学系研究科医療安全管理学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療事故が発生した場合、それが真に解決されるか、あるいはそれが紛争・訴訟へと発展するかは、行った医療行為に過失があったか否かということよりも、事故の確定から、説明ないしは謝罪に至る一連の初期対応が適切に行われたかどうかに大きく影響される。そこで、医療事故が発生した場合に適時適切な対応ができるように、実際に生じた医療事故事例を素材に、あるべき事故対応の具体的な方法(手順)について、患者を交えた他職種から構成されるチームで検討する。また、その上で、事故対応の具体的な手順(事故の確定・原因究明・患者への説明(ないしは和解))を示した「医療事故対応100選」を作成する。
研究方法
1.医療事故への初期対応について必要な作業について、理論面からの論点整理
医療事故対応を行うにあたって必要となる作業について、理論面から論点整理を行い、その意義と方法等を示す。

2.事例の収集・選定
平成16年10月から開始された医療事故報告制度のもとで報告された事例等を素材として、対応(手順)をまとめる事例を選定した。

3.検討チームによる、あるべき対応(手順)についてのテンプレート作成
法学研究者、医師等医療従事者、患者等のメンバーによるチームで検討を行い、あるべき対応(手順)についてのテンプレートを作成した。テンプレートは、時間の流れに沿ったフローチャートおよび解説から構成されるものとした。
結果と考察
研究の結果、医療事故を適正に解決するために事故発生後の対応を行うにあたっては、現場の保存、院内検証、警察への届出や社会への公表など、一般に考えられている以上に多くの作業を実施する必要があり、それを実際に行うためにはそれぞれの作業を行う意義や方法について事前に十分に理解しておく必要があることが分かった。また、実際に事例の検討を行った過程においてはこれらの作業を場当たり的に行うのではなく、順を追って実施していかなければ適切な事故対応の実現は難しいことがわかった。
結論
今後、医療機関で適切な事故対応がなされるためには、各々の医療機関においても本研究でとりあげたような事例や院内で実際に発生したインシデント・アクシデント事例などを題材として対応の方法(手順)を検討する取り組みを継続して実施していくことが有益であると考える。

公開日・更新日

公開日
2007-06-27
更新日
-