利用者の視点に基づく医療連携・退院支援のアウトカム指標の開発-ケアの場の移行に伴って発生する患者・家族の療養生活上のニーズに焦点をあてて

文献情報

文献番号
200634131A
報告書区分
総括
研究課題名
利用者の視点に基づく医療連携・退院支援のアウトカム指標の開発-ケアの場の移行に伴って発生する患者・家族の療養生活上のニーズに焦点をあてて
課題番号
H18-医療-若手-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
永田 智子(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 鷲見 尚己(北海道大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,216,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ケアの場の移行に当たって生じる患者・家族の療養生活上のニーズの変化を、入院中から退院後までの経過を追って把握する。また、特定機能病院に勤務する病棟看護師がどのように退院支援の必要性を察知し、行動しているかを調査する。
研究方法
特定機能病院の対象病棟に1週間以上入院しており、新たに何らかの障害や医療処置を有する状態で退院する成人患者を対象とした。病棟スタッフが該当患者を選定し、研究者が説明を行い、了解が得られた患者を対象患者とした。入院中と退院後に、療養生活上のニーズに関する半構造的面接を行なった。
また、特定機能病院に勤務する病棟看護師の希望者に対し、1時間程度のグループインタビューを実施した。
結果と考察
半構造化面接では、5名の該当患者のうち、参加への同意が得られた4名に対し、入院中のインタビューを実施した。1名に対して、退院後の訪問インタビューを実施した。
 入院中のインタビューの結果、「いったん入院すると、退院後一からプランを作り直すことになり困難である」「誰がプライマリーナースなのかわからない」「在宅でのやりかたを病院で認めてもらえない」などの意見が聞かれた。また、退院後インタビューを行ったケースでは、サービス計画が固まったのは退院1週間後であり、ヘルパーの導入はさらにその後であった。介護者は「やむをえない」と受け止めていたが、実際にはもっと早くサービスを導入できるはずであった。
 病棟看護師へは2回のインタビューを実施し、述べ5名が参加した。病棟看護師は、入院時に患者の病状、家族への問いかけや、家族から患者への働きかけなどから支援の必要性を予測していた。しかし、自らの受け持ちでない場合や、病棟の理解が得られない場合に、支援の実施に困難を感じていた。
結論
在宅でのケア方法が病院で認められない、医療者の都合で予定が急に決まってしまう、誰に相談してよいのかわからないなどの状況について、患者・家族は不満を持っており、早めの情報提供・十分な話し合いの必要性が改めて示された。また、患者・家族の主観的評価は、専門職による客観的評価と食い違いが生じる場合があることがわかり、これらの組み合わせが必要と考えられた。
病棟看護師は、入院中に支援の必要性を発見しようと努力しているが、自らの受け持ちでない場合や、病棟の理解が得られない場合に、支援の実施に困難を感じていた。

公開日・更新日

公開日
2007-06-28
更新日
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