エビデンスに基づく骨折予防ガイドラインの有効性評価と効率的なエビデンスコミュニケーションの実施方法に関する研究

文献情報

文献番号
200634123A
報告書区分
総括
研究課題名
エビデンスに基づく骨折予防ガイドラインの有効性評価と効率的なエビデンスコミュニケーションの実施方法に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-044
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
伊木 雅之(近畿大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 玉置淳子(近畿大学 医学部)
  • 梶田悦子(名古屋大学 医学部)
  • 池田行宏(近畿大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
エビデンスを現場の実践者に正しく、早く、効率的に届けるため、筆者らは「地域保健におけるエビデンスに基づく骨折・骨粗鬆所予防ガイドライン」(以下、本ガイドライン)を作成した。この有効性を形式評価、ならびにアウトカム評価すると共に、現場の要望を調査して、より有効で効率的なエビデンスコミュニケーションの方法を立案する。
研究方法
1.Appraisal of Guidelines Research and Evaluation (AGREE) Instrument、AGREE評価票の日本語版を用い、EBMに造詣の深い専門家が本ガイドラインを形式評価した。
2.全市区町村保健センター1963施設を対象に骨粗鬆症対策実施状況について郵送調査した。
3.協力が得られた市町村から100を無作為抽出し、現在実施している対策について分担研究者が事前評価した。その後、主任研究者が対象市町村を、地域、市区町村の別を層別因子として無作為に2群に分け、一方に本ガイドラインを提供して対策を更新してもらい、他方には本ガイドライン以外の任意の情報に基づいて更新してもらう依頼をした。
4.1のAGREE評価時に本ガイドラインの問題点や改善の方向についての意見を収集し、2の調査時に対策に関する情報提供の方法、内容、更新の頻度などへの要望、現状で利用可能な情報入手経路と実際の利用度などについて調査した。
結果と考察
1.AGREE日本語版による評価では、本ガイドラインに該当すると考えられるほとんどの項目で高い評点を得、総合評価では評価者の94%が使用を「推奨する」と判定した。
2.実際に行われている対策では、検診の有効性を示すエビデンスが認められている65女性を対象とした検診実施率が低く、欧米で有効性が示されている腰椎や大腿骨近位部測定の実施率が低かった。体重管理などの内容についても改善の余地があった。
3.対象市区町村100地区の介入前評価が全て実施できた。その結果、2と同様に、実際に行われている対策は必ずしもエビデンスに沿ったものではなかった。その後、予定通り無作為割り付けをし、本ガイドラインによる介入を実施した。
4.予定通りに資料を収集した。対策のエビデンス準拠状況は企画時に何らかの資料を利用した場合に良くなるが、資料の内容を現場なりに改変して適用している場合に良くなった。
結論
市町村で実査に行われている対策は必ずしもエビデンスに沿っておらず、最新のエビデンスを確実に伝える必要があった。本ガイドラインはそのツールとしての有効性がAGREEによって確認され、アウトカム評価する無作為割り付け比較試験が順調に始まった。

公開日・更新日

公開日
2007-08-08
更新日
-