若年肥満者の生活習慣病としての睡眠時無呼吸症候群の位置づけとその治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200634119A
報告書区分
総括
研究課題名
若年肥満者の生活習慣病としての睡眠時無呼吸症候群の位置づけとその治療法の確立に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-040
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
栗山 喬之(千葉大学大学院医学研究院加齢呼吸器病態制御学)
研究分担者(所属機関)
  • 巽 浩一郎(千葉大学大学院医学研究院 加齢呼吸器病態制御学)
  • 成井 浩司(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 睡眠センター)
  • 陳 和夫(京都大学大学院医学研究科 呼吸器内科学)
  • 佐藤 誠(筑波大学大学院 人間総合科学研究科 社会環境医学専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 若年肥満者では、同程度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)でも自覚症状が軽度なため、中高年・高齢肥満者と比較して、見逃されている可能性がある。しかし、肥満を伴う若年SASは、潜在性の生活習慣病として重要であり、その病態解析が必要である。その一部として、メタボリックシンドローム(MetS)成立の一部として、SASが関与していることを明らかにする。
研究方法
 SAS 483症例(平均53歳、平均BMI 27.0)を対象として、SASとMetSの合併に関して検討した。また、年齢・BMI・内臓脂肪面積を両群で合わせたSAS患者42名と非SAS患者52名を抽出し、血圧及び空腹時血糖(FPG)・血清HDL・中性脂肪(TG)の他、HOMA-Rについて検討した。
結果と考察
 若年者ではMetSの有病率は、軽症SAS群で13.3%、中等症SAS群で31.5%、重症OSAS群で46.7%であり、軽症OSAS群に対するMetS合併のオッズ比は、中等症SAS群で2.4、重症SAS群で3.9 であった。高齢者ではMetSの有病率は、軽症SAS群で16.0%、中等症SAS群で28.8%、重症SAS群で45.6%であり、軽症SAS群に対するMetS合併のオッズ比は、中等症SAS群で1.4、重症SAS群で2.9 であった。これらの結果より、BMIや他の共変量とは独立して、SASはMetSと関係しており、その関係は若年者においてより強いことが示唆された。また、SAS患者と非SAS患者間において、FPG・HDL・TGにおいて2つ以上の異常値を認めた患者は有意にSAS患者に多く、血圧の上昇・FPG上昇・インシュリン抵抗性の亢進について、SASの存在は肥満のみならず内臓脂肪蓄積と独立した危険因子であった。
結論
 BMIとは独立して、SASはMetSと関係しており、その関係は若年者においてより強いことが示唆された。SASにおける心血管系病変の高率な合併は、MetSとの関係も考慮すべきと考えられ、SASの若年からのスクリーニングおよび治療的介入が必要であると考えられた。また、血圧の上昇・空腹時血糖の上昇・インシュリン抵抗性の亢進について、SASの存在は肥満のみならず内臓脂肪蓄積と独立した危険因子であった。非肥満SAS患者においても、心・脳血管疾患の発症や他の代謝性危険因子の合併、予後についての検討が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2018-06-18
更新日
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