総合的な地域保健サービスの提供体制に関する研究

文献情報

文献番号
199700258A
報告書区分
総括
研究課題名
総合的な地域保健サービスの提供体制に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
松浦 十四郎(財団法人日本公衆衛生協会)
研究分担者(所属機関)
  • 藤内修二(大分県佐伯保健所)
  • 宇治光治(福岡県田川保健所)
  • 竹内義廣(三重県熊野保健所)
  • 土居浩(長崎県福祉保健部保健予防課)
  • 内野英幸(長野県大町保健所)
  • 野尻孝子(和歌山県御坊保健所)
  • 南幹雄(富山県福野保健所)
  • 木村眞理(愛媛県西条中央保健所)
  • 恩河尚清(沖縄県宮古保健所)
  • 飯野昭夫(群馬県利根保健所)
  • 岡澤昭子(大阪府富田林保健所)
  • 山内拓夫(埼玉県大里福祉保健総合センター、埼玉県熊谷保健所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 保健医療福祉地域総合調査研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
平成11(1999)年度
研究費
55,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.平成9年度、地域保健法が全面施行され、各都道府県においてその実施体制づくりが急速に進められている。より良いモデル的事業の展開を研究的に推進するとともに、プラス面、マイナス面などの問題点を分析し、各都道府県における事業推進のための参考に資する。
2.地域保健活動に関する実践マニュアル
新しい地域保健法の下での保健所を中心とした地域保健医療推進のためのマニュアルを作成することとし、平成9年度においては、その骨格作りと参考資料のとりまとめを行った。なお、保健所の機能評価マニュアルについても平行して作業を進めている。
研究方法
1.12府県の分担研究者(主として保健所長)が、それぞれのモデル地域(原則として地域保健医療圏)を選定し、地域保健に関する特定の課題を決め、その具体的な手順と問題点を明らかにする。
本年度(第1年次)は、基本的構想作り及び基礎調査等を行った。
2.地域保健活動に関する実践マニュアル
東京都立大学都市研究所 星 助教授を中心に大学研究者と保健所関係者等による研究班を組織し、
(1) 保健所現場の問題提起と、大学研究者からの提案による討議により問題点を整理した。
(2) 推進マニュアルと併せて評価マニュアルを作成するという二重構造で作業を進めている。
結果と考察
1.本研究は、具体的なシステム作りを指向しており、3年計画で進めるものである。
(1) 保健所の地域診断機能の強化を中心とするモデル事業(分担研究者:藤内修二)
保健所の地域診断、企画・調整機能の強化を図るため、PRECEDE - PROCEED Model を用いた ・地域診断から事業の実施、更に効果の評価に至るまでのプロセスについての検討、・社会診断の試み、・管内地域保健関係者を対象とした研修会の開催を行った。
(2) 思春期問題を中心とするモデル事業(分担研究者:宇治光治)
医療圏内で抱えている若年妊娠、薬物依存等の思春期問題を通して、学校保健との連携を深めた一貫した保健教育体制の確立を目指すために、・学校関係者との基盤整備、・保健教育、・薬物に関する意識調査を実施した。
(3) 母子保健(広域的・効率的)を中心とするモデル事業(分担研究者:竹内義廣)
医療過疎地域における小規模市町村単位での母子保健サービス提供を目指し、広域的・効率的な母子保健サービス提供システム構築のため、・市町村協議会の設置、・母子保健システム統一のための調整会議の開催、・医療過疎地域での在宅障害児(者)のニーズ調査、・情報機器を用いた在宅障害児等への見守りネットワークの構築を行った。
(4) 母子保健(地域的総合支援)を中心とするモデル事業(分担研究者:土居浩)
地域に密着した時代の流れに即した母子保健の総合的な支援システムの構築、定着をはかるため、・1.6歳児、3歳児健診評価事業、・グレーゾーン支援介入事業、・障害児地域療育支援事業を実施した。
(5) 痴呆性老人在宅ケアを中心とするモデル事業(分担研究者:内野英幸)
痴呆性老人の在宅ケアを中心としたシステムの確立を目指すために、痴呆性老人に対する在宅ケアの成立条件の一つである早期発見・早期対応に影響を与える社会環境因子の実態を明らかにすべく実態調査を実施した。
(6) 痴呆性老人総合的地域ケアを中心とするモデル事業(分担研究者:野尻孝子)
痴呆性老人が地域で暮らせるシステムづくりを目指し、痴呆性老人の早期発見や診断、相談窓口体制づくりを行い、本人及び家族への支援体制を整備するために、・痴呆性老人(在宅・施設)の実態調査(訪問調査)、・痴呆性老人に関するニーズ調査(アンケート)、・痴呆性老人の啓発事業(地域住民へのアンケート意識調査)を実施した。
(7) 難病(在宅ケア)を中心とするモデル事業(分担研究者:南幹雄)
在宅難病患者のQOLの向上を目指した生活者主体の支援を行うための、保健・医療・福祉を網羅した情報システムを構築するため、・情報化のための基本指針のまとめ、・神経難病患者の生活実態調査を実施した。
(8) 難病(総合的地域ケア)を中心とするモデル事業(分担研究者:木村眞理)
保健所が中心となり、保健・医療・福祉を包括した難病の総合的地域ケアネットワークシステムの構築を推進し、保健所の情報、調整機能が果たす役割を明確にするため、特定疾患患者の療養状況とニーズの調査を実施した。
(9) 広域的障害者プランを中心とするモデル事業(分担研究者:恩河尚清)
二次医療圏での広域的障害者プラン作成に当たり、保健所の果たせる役割を評価するため、・県の出先機関との連携、・モデル村での障害者プラン作成準備の開始、・専門家研究班の活用、・広域的障害者プラン作成の着手、・勉強会、市町村職員を対象とした講演会「精神障害者計画を策定する視点」の開催等を行った。
(10) 総合相談窓口を中心とするモデル事業(分担研究者:飯野昭夫)
保健・医療・福祉・生活衛生問題に対応できる総合相談窓口を設置し相談者に的確な最新情報を提供するシステムを構築するため、各課業務及び保健・医療・福祉の連携の観点から分類・整理、最新情報の提供・対応策についての検討を行った。
(11) 地域保健白書による具体的事業を中心とするモデル事業(分担研究者:岡澤昭子)
南河内二次医療圏内の4保健所が、圏域内10市町村と連携し、母子保健、老人保健、感染症対策、難病・精神保健の4つの事業をテーマに「地域保健白書」を作成するために、・モデル事業推進体制の確立、・医療圏内保健状況の把握、・母子保健、老人保健、感染症対策、難病・精神保健の各事業について問題点・課題の抽出を行った。
(12) 福祉保健総合センター管内における地域保健の推進に関するモデル事業
(分担研究者:山内拓夫)
県型保健所の専門的対人保健サービスの分野における、総合的な地域ケアシステム構築を図るため、地域特性把握と個別ケースのアセスメントを実施した。
2.地域保健活動に関する実践マニュアル
マニュアルの骨格は次のとおりである。
(1) 新しい社会体系の中で、地域保健医療では何が求められているのか。
(2) 基本理念は何か。
(3) 保健所には何が求められているか。
(4) 地域保健医療圏の意義。
(5) 地域保健医療計画の意義。
(6) 保健所運営協議会をどのように活用するか。
(7) 地域保健医療協議会はどのように機能しているか。
(8) 市町村の保健事業に対する指導協力の実態はどうなっているか
(9) 地域保健の課題は何か。
(10) 住民は何を求めているか。
(11) 住民の自主活動は何か。
(12) 行政は何をするのか、どのようなやり方があるのか等
結論
今回は初年度であるので、これら12のモデルを全体会議で相互に情報交換し、調整をして第2年目に入ることとしている。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-

研究報告書(紙媒体)