新生児重症心疾患に対する予後向上のためのリアルタイム心エコー動画像による遠隔診断と新生児心疾患救急診療システム確立に関する臨床研究

文献情報

文献番号
200634108A
報告書区分
総括
研究課題名
新生児重症心疾患に対する予後向上のためのリアルタイム心エコー動画像による遠隔診断と新生児心疾患救急診療システム確立に関する臨床研究
課題番号
H18-医療-一般-029
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
越後 茂之(国立循環器病センター 病院、小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 石川 司朗(福岡市立こども病院 循環器科)
  • 石澤 瞭(国立成育医療センター 循環器科)
  • 大月 審一(岡山大学 小児科)
  • 里見 元義(長野県立こども病院 循環器科)
  • 富田 英(北海道立小児保健 循環器科)
  • 富松 宏文(東京女子医科大学 循環器小児科)
  • 花井 荘太郎(国立循環器病センター 研究所 脈管生理部)
  • 中村 好一(自治医科大学 公衆衛生)
  • 小林 俊樹(埼玉医科大学 小児循環器)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
重症先天性心疾患を持つ新生児に対して、心エコー検査を用いた早期の正確な診断とそれによる迅速で適切な初期治療を行うことができれば、生命予後ならびにQOLの著明な改善が期待できる。本研究の目的は、セキュリティーに十分配慮した安価なシステムとインターネットを使用して、新生児医療施設と小児循環器診療中核施設間で、先天性心疾患に対するリアルタイム心エコー動画像を用いた遠隔診断を行い、これに基づく迅速で適切な初期治療と安定した状態での専門医療施設への搬送がもたらす新生児重症先天性心疾患の予後改善効果等の評価行うことである。
研究方法
具体的な検討項目は、1)遠隔診断に必要な器材の性能とリアルタイム送信動画像のクオティー、2)遠隔診断前後の診断ならびに最終の確定診断の一致率、3)遠隔診断とこれに基づく初期治療後の安定した状態での専門医療施設への搬送がもたらす新生児重症先天性心疾患の予後改善の有無、費用対効果などである。
結果と考察
遠隔診断の精度についての研究プロトコールでは、1)リアルタイム動画像の劣化の有無、 2) 遠隔診断と、同時記録したDVDなどによる主要診断一致、3) 遠隔診断と最終診断との一致について検討する。新生児心疾患の予後向上については、1)送信側と受信側の診断・初期治療プランの比較、2)historical analysis、3) 遠隔診断実施施設とそれ以外の施設との比較を行う。
リアルタイム心エコー動画像を受信する全国の小児循環器診療中核施設としては13施設を選択し、心エコー動画像を送信する新生児医療施設は31施設を決定して遠隔診断ネットワークを構築した。これは、都市部、広域診療圏、山間部、離島を含み、本邦における種々の特徴的な医療圏を網羅している。一部の施設間では、上記のシステムによるリアルタイム心エコー動画像の送受信を実施したが、現在までのところ診断に差し障る程の不安定な通信状態は無く、受信側の画質が正確な診断に十分耐え得ることを確認した。
結論
インターネット経由の受信側の画質が正確な診断に十分耐え得ることが確認されたことによって、小児循環器科医による精度の高いリアルタイム心エコー動画像を用いた迅速な遠隔診断とそれに基づく的確な初期治療が、新生児重症心疾患の予後向上に貢献するかを実証する体制が確立し、全国レベルの安価で操作が容易な小児心疾患遠隔診断網の早期確立を実現する可能性がでてきた。

公開日・更新日

公開日
2007-08-08
更新日
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