医療安全対策の推進基盤となる電子カルテシステム等の開発・評価と利活用に関する研究「医療安全を目的とした電子カルテシステムのユーザビリティ評価とユーザーインターフェースガイドライン構築」

文献情報

文献番号
200634105A
報告書区分
総括
研究課題名
医療安全対策の推進基盤となる電子カルテシステム等の開発・評価と利活用に関する研究「医療安全を目的とした電子カルテシステムのユーザビリティ評価とユーザーインターフェースガイドライン構築」
課題番号
H18-医療-一般-026
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山野邉 裕二(国立成育医療センター病院総合診療部医療情報室)
研究分担者(所属機関)
  • 本多 正幸(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 総合診療情報学)
  • 相澤 志優(国立成育医療センター 医療情報室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、電子カルテに代表される病院情報システムのユーザビリティを改善するための具体的な提案を、3段階のロードマップに従って行うことを目的とする。今年度は1年目として、「医療安全上危険な電子カルテの操作上の問題点」を明らかにすることを目的とした。
研究方法
 電子カルテベンダー5社に協力を求め、実運用されているものと同じシステムの環境にテストデータを入力したものを作成、その上で、評価手順に沿って操作を記録した。
 ここでの評価項目としては、低レベルのGUI部品に起因する問題を選定した。
結果と考察
 得られた結果の一例として、あるシステムでは82種類の画面に、24の不適切な項目が存在した。得られた個々の項目のなかで、特に医療事故に直結しかねないものを「医療安全上危険な電子カルテの操作上の問題点」として抽出した。以下の4項目については医療安全上の危険性が高いと判断した。
・隠しボタン
・逆動作ボタン
・択一項目へのチェックボックス利用
・ダブルクリックで誤動作を惹起する部品

・隠しボタン
 ボタンの外観を持たないボタンは、ユーザがその操作を覚えることが困難なため、しだいに使われなくなる可能性が高いこと、意図しないクリック等で予期せぬ結果を招くということから、使用を避けるべきである。

・逆動作ボタン
 前後の文脈なしにそのボタンの意味を厳密に考えるとき、そのボタンが逆動作ボタンであるか否か、すなわち押すことで表記された動作をするのか、表記と逆の動作をするのかを正しく予測することはできない。逆動作ボタンは、ドロップダウンリストのような他の部品で代替し、システムから排除すべきである。

・択一項目へのチェックボックス利用
 本来チェックボックスは、複数の選択を可能にするための部品である。アレルギーの有無のような、「有」と「無」が同時に存在し得ないような状態選択にチェックボックスを使ってはいけない。ラジオボタンを使うべきである。

・ダブルクリックによる誤動作の可能性
 リスト内項目やアイコンのように通常ダブルクリックを受け付けるGUI部品だけでなく、ボタンやメニューのようなあらゆるGUI要素についても、誤って2回のクリックを受けても予期せぬ動作をしないように確認をする必要がある。
結論
 結果部分で述べた4項目については、今後の電子カルテシステムのユーザーインターフェースとしては忌避すべきである。

公開日・更新日

公開日
2007-08-29
更新日
-