医療・福祉分野の安全性向上を目指した電子タグ応用の包括的研究

文献情報

文献番号
200634104A
報告書区分
総括
研究課題名
医療・福祉分野の安全性向上を目指した電子タグ応用の包括的研究
課題番号
H18-医療-一般-025
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 克幸(秋田大学医学部附属病院医療情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 稲田 紘(兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科)
  • 武田 裕(大阪大学医学部附属病院医療情報部)
  • 保坂 良資(湘南工科大学工学部情報工学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療・福祉分野では各種の事故防止が急務であり,人間の注意力に頼るだけでなくIT活用による支援も求められている.そうした中,電子タグの活用はその技術的特性から安全管理上の有効性が大いに期待されるもので,本研究では①輸血・薬剤投与ミス防止のための電子カルテや医療機器との融合活用,②医療機器管理,③位置情報の管理,④周囲環境との適合性などの視点から包括的に電子タグの利用を研究・開発・評価を行うとともに,その課題抽出も行う.
研究方法
本年度は,インシデント報告をもとにしたユースケースの分析を行い,医療機関で電子タグが安全性向上のために有効活用できる局面を明らかにするとともに,実稼働している施設のログ等の情報をもとに実施業務における電子タグの有用性を評価する.また,医療機器管理への応用を実現すべくシステム開発を行い,試行運用を通して評価する.さらに,位置情報管理への応用を視野に,UHF帯パッシブタグやアクティブタグの調査と評価を行う.他には,医療・福祉領域での電子タグ利用のために障害となる対環境性能を評価すべく,本年度はアモルファス磁性体シートを使った対金属特性の評価や,対水分性能,PLCなど電子タグとの相互干渉の可能性がある機器の基礎的調査を行う.
結果と考察
インシデント報告の分析からは,注射や与薬業務の他に転倒・転落をはじめとする幅広い業務で,電子タグによる安全性の向上が可能と推測された.また,実施業務での運用例を通じた検討では,電子タグによる認証システムはインシデント減少に寄与する事が示唆され,さらに開発した医療機器管理システムの試行運用では利用者から良好な評価を得た.これらの事から,電子タグを利用した認証システムは優れたユーザビリティと,確実・高効率な業務支援システムとして有効と思われた.位置管理への応用については,UHF帯タグによる入室ログの取得実験の結果,20.83%程度の認証成功率にとどまり,同周波数帯での位置管理・動態管理には課題があると思われた.
結論
電子タグは医療・福祉・介護領域での幅広い利用が見込まれ,安全性向上への寄与が期待できる技術と考えられる.位置管理などへの応用拡大も視野にいれ,現状で明らかになった課題解決のために研究を継続するとともに,アクティブタグなど幅広い選択肢を視野にいれつつ,検討を続けて行く必要がある.

公開日・更新日

公開日
2007-08-08
更新日
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