テロに対する医療体制の充実及び評価に関する研究

文献情報

文献番号
200634093A
報告書区分
総括
研究課題名
テロに対する医療体制の充実及び評価に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-014
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大友 康裕(東京医科歯科大学(大学院医歯学総合研究科・救急災害医学))
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
9,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国民保護法に関する厚生労働省国民保護計画の中では、NBCテロへの対応体制を確立することが喫緊の課題となっているが、現在のNBCテロへの医療対応体制は事故をベースに考えられているため、原因物質毎に異なる医療体制がとられている。しかし実際のNBC災害初動期においては原因物質が不明なことも多く、混合物質の関与も考えられることから、現状のシステムでは初動時の対応困難、混乱が懸念される。そこで本研究では日常診療を担う救急医療施設を活用して対応するために、NBC災害全般に共通した標準的な医療対応方法及び研修カリキュラムを開発し、国内外のNBCテロ対応に寄与することを目的とした。
研究方法
1)NBCテロへの標準的対応の検討:ワーキンググループを設置し、NBCテロ発生時に真っ先に矢面に立って対応しなければならない救急医療機関において、NBC共通の院内対応および実診療の手順について標準化を図った。
2)研修カリキュラムの企画実施:標準的対応のための医療機関に対する研修の手法、教材の開発を行った。厚労省より日本中毒情報センターに委託され「NBCテロ対策セミナー」として実施された。
3)医療機関における検査体制の構築:薬毒物検査の分析方法開発、精度管理、分析講習会に関して研究を行った。
結果と考察
1)「医療機関におけるNBCテロに対する標準的対応」としてa) 事象評価、 b) 院内災害対策本部設置、c) 準備 prepare; gate control、zoningおよび除染設備立ち上げ、d)PreDECON Triage;傷病者毎に除染の要否判断と除線方法決定、e) 除染; 除染の実施と除染中の治療、f) PostDECON-Triage; 除染後の治療優先順位決定、g) 評価と診療; 緊急治療の実施、原因物質の特定と治療の実施、という一連の流れを、N・B・Cテロ共通に、また混合使用や爆弾テロなどの外傷合併例の場合までを包括した内容として完成させた。
2) 研修会実施。大多数の受講生から「今回の実習を通して、自分の病院でのNBCテロ対応体制をどのように整備するべきか明確となった」との評価を得た。
また薬毒物検査の精度管理、原因不明物質の特定に関する分析講習会への知見の提供も行われた。
結論
本年度、本研究班で整理された「医療機関におけるNBCテロに対する標準的対応」を全国の災害拠点病院に提示し、また研修会で伝達することによって、それぞれの病院で、具体的にどのような院内体制を整備し、どのような手順で診療していけばよいか明確となることから、医療機関におけるNBCテロ対応が、飛躍的に改善されるものと期待できる。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
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