医療圏における地域疾病構造および患者受療行動に基づく地域医療の評価のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200634090A
報告書区分
総括
研究課題名
医療圏における地域疾病構造および患者受療行動に基づく地域医療の評価のあり方に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
伏見 清秀(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科医療情報システム学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
2,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
今後の地域保健医療計画における圏域の設定や地域医療の評価のあり方について、住民の受療行動や救急搬送の状況、地域特性、住民の年齢構成、疾病構造等をも含めた具体的な評価指標と数値目標等の必要性が提起されているとともに、疾患に応じて臨床経過に沿った入院需要の推計の必要性が示されている。そこで、本研究では、疾病分類、在院日数、手術の有無等別の患者の状況、および医療圏間の患者移動等、地域医療の状況に関する情報を活用して、医療圏の設定や地域医療需要の推計等を含む地域医療の評価指標や数値目標のあり方をあきらかとして、さらにそれらを設定する具体的方法を示すことを目的とした。
研究方法
患者調査・医療施設調査とDPC診断群分類定義表をリンクした地域DPC患者データベースを構築し、地域の疾病構造、患者受療行動より見た疾病別実医療圏、地域における各医療機関の機能、病床・人員・設備等の医療資源の必要度を推計した。
結果と考察
現状の二次医療圏の設定において、疾病分類、在院日数等を加味した医療需要や必要病床数の算定方法およびそれに対する充足状況、あるいは、それらの地域差の状況等を検討し、地域医療の評価手法とそのための評価指標等の基本的要件を明らかとした。さらに、医療圏間の患者の移動の実態を明らかとする方法を検討し、現在の病床の利用状況への影響とその地域特性等を示した。また、これらの解析に必要な分析ツールの設計、作成、および都道府県の医療計画策定担当者等を交えた評価を行った。地域退院患者数と病床・医師・看護師、診療機器等の傷病別医療資源必要度から地域医療資源必要度を推計し、各地域の充足状況を明らかとした。これらの諸分析結果を、DPCを用いた地域評価レポートとしてまとめた上で電子媒体に作成した。
結論
本研究により期待される成果としては、医療圏の設定や医療圏における医療需要の推計等を含む地域医療評価のための科学的かつ具体的な方法が明らかにされることにより、行政の透明性が確保されるともに、より効率的な医療提供体制の確立と疾病特性、地域特性に応じた医療の質の確保のための施策立案の基盤が提供されることが考えられる。さらに、具体的な数値目標の設定方法とその評価方法の確立、また、それらに不可欠の情報基盤の整備につながることが考えられ、根拠に基づく医療施策の立案、遂行、評価の推進に大きく寄与することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2008-04-03
更新日
-