医療の安全性及び安全対策の評価指標の開発と有効性の検証

文献情報

文献番号
200634088A
報告書区分
総括
研究課題名
医療の安全性及び安全対策の評価指標の開発と有効性の検証
課題番号
H18-医療-一般-009
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
武澤 純(名古屋大学大学院医学系研究科機能構築医学専攻救急集中治療医学)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 敏彦(日本医科大学医療管理学教室)
  • 荒川 宜親(国立感染症研究所細菌第二部)
  • 吉田 勝美(聖マリアンナ大学予防医学教室)
  • 高橋 英夫(名古屋大学大学院医学系研究科機能構築医学専攻救急集中治療医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
第五次医療法改正(2007年4月1日施行)に対応して、地域医療機関が院内感染対策を実施するに当たって地方行政機関の支援・指導上の課題を把握し、その支援・指導のガイドライン作成を目的として課題調査を行った。
研究方法
129の地方自治体(都道府県、政令市、中核市、保健所政令市、特別区)に医療機関の院内感染対策を支援するに当たって、権限と責任、情報収集、指導・支援などの、困難な事項についてアンケート調査を行い、その課題を抽出し検討を加えた。
結果と考察
院内感染対策の専門職員を配置している保健医療行政区分は12であったが、行政上の必要性は高く、専門職員に対する体系的で恒常的な教育・研修が必要である。
医療機関に対する教育・研修についてはカリキュラムや講師の人選について困難を感じているため、院内感染対策地域ネットワークなどを利用して計画的に教育・研修の機会を提供することが必要である。
アウトブレイク時の対応では専門職の支援確保に困難を感じている。解決には行政区分を越えた支援体制も必要であり、感染症関連学会やFETP等の専門職集団による支援体制が望まれる。
社会安全や社会防衛の観点からは、院内感染に限らず、原因不明の感染症のアウトブレイク時には行政機関へ報告することを義務づける感染症法の弾力的運用が必要となる。多剤耐性菌による多数の感染症患者の発生、少数であっても院内感染による死亡例の発生、VREやMDRPなどの監視対象の特定多剤耐性菌の保菌患者の複数発生、あるいは、通常では血液などから検出されない微生物によって複数の感染症患者が発生した場合は院内感染として、行政機関に届け出て、拡大を防ぐための緊急措置、および要因分析と改善に関する行政的支援を受ける必要がある。また、アウトブレイク時の要員分析と改善支援には院内感染対策地域支援ネットワークや感染症関連学会あるいはFETPなどの専門職集団との連携を深め、迅速な初動体制を構築することが必要となる。
結論
①地方行政機関では地域院内感染対策上の地方行政機関の責任と権限の行使にあたってその基準の明確化が必要である、②地域における感染症専門職員の必要性が飛躍的に高まるため、その育成のシステムが必要である、③地方行政機関の院内感染対策業務を支援するためには地域または時には地域を越えた医育機関、研究機関、学会、FETPなどの専門職組織のネットワークの構築が必要である。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
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