国民の視点に基づく適切な診断過程の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200634075A
報告書区分
総括
研究課題名
国民の視点に基づく適切な診断過程の確立に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-044
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
峯 徹哉(東海大学医学部内科学系消化器内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 森實 敏夫(神奈川歯科大学内科学)
  • 中島 淳(横浜市立大学大学院・分子消化器内科)
  • 大川 伸一(神奈川県立ガンセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
一般国民が医療機関を受診した際に期待する医療サービスの中で、診断を確定するために行われる問診、診察、検査といった診断確定にいたる過程と、EBMに基づく適切な診断過程、さらに、現行の医療機関でおこなわれている診断過程の実態は必ずしも一致していない。、EBMに基づいた診断に関する研究はほとんど行われていない現状で、それは非科学的な認識である。医療は従来、治療が優先され診断は必要性が不明な検査も含め、総花的に行われ、それが許容されてきた。その一因はEBMに基づく、論理的診断体系に関する研究がほとんど行われてこなかったことにある。様々な事前確率の様々な疾患の最も適切な診断過程を明らかにすることが必要とされている。本研究で成果が得られれば、様々な疾患において、根拠に基づいた推奨すべき診断過程が明らかになるであろう。
研究方法
現在、後向き研究であるが各々の疾患においてgold standardを決め、臨床検査の感度及び特異度について検討した。診断プロセスについてはアンケート調査を行ない、その診断の進め方を検討した。消化器疾患のガイドラインについては膨大な文献からエビデンスレベルを決定してその作成を行なっている。

結果と考察
診断プロセスの適切性についてはGERDと肝疾患について検討した結果、疾患によって診断確定までの診断の進め方が異なった。膵癌患者の診断過程とステージ分類との関係を解析したが、診断過程とステージ分類には関係がなかった。胃食道逆流症の患者について胸やけを主訴とする患者の6割がプロトンポンプ阻害薬投与のみで十分であった。肝臓については肝生検をgold standardにしたNASH診断法の開発について検討を行なった。NASH(non-alcoholic steatohepatitis)を診断する際にHLDコレステロール、血清フェリチン、高感度CRP、4型コラーゲン7S、アディポネクチンが重要であることが明らかとなった。C型慢性肝炎患者においては肝線維化の指標としてやはり血小板数が参考になることが確認された。次に肝細胞癌診断においてUS 、CTは30mm以下では80%以上の感度・特異度MRIの感度はやや低かった。AFP,PIVKA-Ⅱについては診断価値が劣っていた。それぞれの疾患の診断過程について検討をさらに続けることによって新たな診断ガイドラインができると思われる。
結論
診断プロセスの適切性について文献・検査結果によるEBMの構築と患者へのアンケート調査を引き続き行いガイドラインを作成していきたい。

公開日・更新日

公開日
2007-08-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200634075B
報告書区分
総合
研究課題名
国民の視点に基づく適切な診断過程の確立に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-044
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
峯 徹哉(東海大学医学部内科学系消化器内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 森實 敏夫(神奈川歯科大学内科)
  • 中島 淳(横浜市立大学大学院・分子消化器内科)
  • 大川 伸一(神奈川県立ガンセンター)
  • 柴田 実(柴田内科・消化器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
一般国民の視点では、検査を受けることによって、診断が100%確定するかの様に認識されているが、EBMに基づいた診断に関する研究はほとんど行われていない現状で、それは非科学的な認識である。消化器領域では、内視鏡をはじめとして血管造影など、侵襲性のある信憑性の高い検査が多く行われるため、EBMに基づく適切な診断過程の確立は特に必要とされる。本研究の目的はさまざまな事前確率のさまざまな疾患の診断過程で、一般国民が納得し、高い満足度が得られ、なおかつ、EBMに基づいた適切なものを明らかにすることである。
研究方法
後向き研究であるが各々の疾患においてgold standardを決め、臨床検査の感度及び特異度について検討した。診断プロセスについてはアンケート調査を行ない、その診断の進め方を検討した。消化器疾患のガイドラインについては膨大な文献からエビデンスレベルを決定してその作成を行なっている。
結果と考察
診断プロセスの適切性に関するアンケート調査を行なったが、GERDと肝疾患についてとりあげた。その結果、両疾患によって診断確定までの診断の進め方、時間について適切と評価する割合は疾患によって異なっていた。胸やけの患者でプロトンポンプ阻害薬投与のみで十分かどうか検討したところ十分であった。肝臓についてはNASH(non-alcoholic steatohepatitis)はメタボリックシンドロームとの直接的な関与もありその診断方法は現在一定していない。NASHを診断にHLDコレステロール、血清フェリチン、高感度CRP、4型コラーゲン7S、アディポネクチンが関わっていることが明らかとなった。C型慢性肝炎患者においては肝線維化の指標としてやはり血小板数が参考になることが確認された。次に肝細胞癌診断における各種検査の感度・特異度についてMRIの感度はUS,CTより低かった。AFP,PIVKA-Ⅱについては画像診断より診断価値が劣っていた。それぞれの疾患の診断過程について検討をさらに続けることによって新たな診断ガイドラインができると思われる。
結論
18年と19年に渡り患者側から診た消化器疾患の診断過程を検討したがやはりEBMの構築と患者のアンケート調査を基に診療ガイドラインを作成すべきであると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2007-08-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200634075C