患者参加に基づく医療安全・質評価指標の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200634064A
報告書区分
総括
研究課題名
患者参加に基づく医療安全・質評価指標の開発に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-033
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学医学部社会医学講座 医療政策・経営科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 和田 ちひろ(いいなステーション)
  • 渡邊 聖(東邦大学医療センター大森病院 医療安全管理部)
  • 城川 美佳(東邦大学医学部社会医学講座好手衛生学分野)
  • 長谷川幸子(日本医科大学附属病院 医療安全管理部)
  • 長谷川敏彦(日本医科大学 医療管理学講座)
  • 平尾智広(香川大学医学部 医療管理学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療安全における患者参加の可能性、想定される役割、促進策を明らかにする。
研究方法
①医療における患者参加の概念・役割についてのレビューを実施した。②医療機関における患者参加促進策の実施状況についてインタビューにより事例調査を実施した。③外来・入院患者を対象にアンケート調査を実施し、患者が経験する非安全事象の医療の場面による相違について検討した。④患者団体にアンケート調査を実施し、原疾患により患者の経験する非安全事象の特徴を明らかにした。⑤アンケート調査を実施し、患者と医療従事者の考える非安全事象の違いを検討した。
結果と考察
①文献レビューを実施し、医療者・患者モデルの変遷、患者参加の概念、患者参加を促進するための活動などについて明らかにした。②4カ所の医療施設を訪問し、各施設で取り組んでいる患者参加による医療安全方策について、インタビュー調査を実施した。③5病院の外来・入院患者を対象にしたアンケート調査では、入院患者の約10%、外来患者の約20%は、非安全、不安・不満事象を経験しているにもかかわらず、医療者側に伝えているのは半数未満であった。医療者・患者間のコミュニケーション向上のための方策は優先度の高い課題であることが伺われた。④3患者団体の約4000人を対象にアンケート調査では、疾患の種類や罹病期間によって非安全事象の経験状況や内容が異なることが認められた。⑤アンケート調査結果から、患者が感じる非安全と医療従事者のそれとは異なっており、業務や患者に提供すべき情報などの対応についての知見が得られた。
結論
患者参加を促進するためには、患者に与えられるべき情報が明らかにされるとともに、患者医療者の良好なコミュニケーションが必要である。原疾患により、また医療提供場面により患者の感じる非安全事象は異なり、これらは従来の院内レポート制度では必ずしも医療者に把握されていない。今後は、①医療の場面、疾患特性により生じやすい非安全事象について明らかにするとともに、②医療者の院内レポート制度との突合せにより患者参加が重要な役割を占める非安全事象の種類・範囲を明らかにする、③患者の感じる非安全事象に合わせた情報の提供、コミュニケーションの確立が、安全の向上につながることの実証研究を実施する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2007-06-27
更新日
-

文献情報

文献番号
200634064B
報告書区分
総合
研究課題名
患者参加に基づく医療安全・質評価指標の開発に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-033
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学医学部社会医学講座 医療政策・経営科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 和田 ちひろ(いいなステーション)
  • 渡邊 聖(東邦大学医療センター大森病院 医療安全管理部)
  • 城川 美佳(東邦大学医学部社会医学講座 公衆衛生学分野)
  • 長谷川 幸子(日本医科大学附属病院 医療安全管理部)
  • 長谷川 敏彦(日本医科大学 医療管理学教室)
  • 平尾 智広(香川大学医学部 医療管理学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療安全における患者参加の可能性、想定される役割、促進策を明らかにする。
研究方法
①医療における患者参加の概念・役割を文献レビューした。②医療機関における患者参加促進策の実施状況について質問票調査とインタビュー調査を実施した。③外来・入院患者を対象に質問票調査を実施し、患者が経験する非安全事象と院内レポートシステムの結果の比較検討を実施した。④患者団体に質問票調査を実施し、原疾患による患者の経験する非安全事象の特徴を明らかにした。⑤質問票調査を実施し、患者と医療従事者の考える非安全事象の違いを検討した。
結果と考察
①文献レビューでは、医療安全における患者参加の代表的なモノグラムを訳出・出版した。また医療者・患者モデルの変遷、患者参加の概念、患者参加を促進するための活動などを明らかにした。②約1000病院対象の質問票調査では、医療安全に患者参加を促進するための取組みは55%の病院が実施しており、「患者に名乗ってもらう」、「治療方針、内容を、生じうる異常・事故を含めて説明」、不安・異常の場合に「すぐに申し出るよう説明」が多かった。4病院を対象に患者参加による医療安全方策の取組みをインタビュー調査した。③8病院の入院・外来患者を対象にした質問票調査では、入院患者の約10%、外来患者の約20%は、非安全、不安・不満事象を経験しているにも係わらず、医療者側に伝えているのは半数未満であった。院内リポート制度で掌握されていた非安全事象は1/3以下であり、安全についての医療者・患者間のコミュニケーション向上のための方策は優先度の高い課題である。④3患者団体約4000人を対象にした質問票調査では、原疾患の種類や罹病期間によって非安全事象の経験状況や内容が異なっていた。⑤患者が感じる非安全と医療従事者のそれとは異なっており、業務や患者に提供すべき情報などについての知見が得られた。
結論
医療安全において患者は発見者の役割を担うことができるが、患者参加の促進には医療場面、疾病に応じて患者に与えられるべき情報の明確化と共に、患者・医療者間の良好なコミュニケーションが必要である。これまでの知見では、疾患・医療場面により患者の感じる非安全事象は異なり、従来の院内レポート制度では必ずしも医療者に把握されていない。今後は、①医療場面、疾患特性により生じやすい非安全事象の明確化と共に、②院内レポート制度との突合により患者参加が重要な役割を占める非安全事象の種類・範囲を明らかにする、③患者の感じる非安全事象に合わせた情報の提供、コミュニケーションの確立が、非安全事象の減少につながることの実証研究が必要である。

公開日・更新日

公開日
2007-06-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200634064C