在宅療養者の看取りにおける訪問看護師と医師との連携に関する研究

文献情報

文献番号
200634051A
報告書区分
総括
研究課題名
在宅療養者の看取りにおける訪問看護師と医師との連携に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-020
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
川越 厚(ホームケアクリニック川越)
研究分担者(所属機関)
  • 岡部 健(医療法人 爽秋会 岡部医院)
  • 下山 直人(国立がんセンター中央病院 手術部)
  • 平林 勝政(國學院大學 法科大学院)
  • 矢野 栄二(帝京大学 医学部)
  • 福井 小紀子(国際医療福祉大学 小田原保健医療学部)
  • 阿部 郷子(東電パートナーズ株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、在宅療養者の看取りを効率的かつより質が高いものとするため、在宅終末期医療を実践している医師と訪問看護師の連携のあり方、特に看護師が現場で迅速に対応できるための医師からの指示の形を提示することを目指している。第二年度の今年度は、医師と看護師の連携の詳細な実態調査を行い、医師から看護師への「事前約束指示」の形を提示することを目的とした。
研究方法
在宅療養者の看取りにおける訪問看護師と医師との連携に関して、海外の実施例や国内の取り組みとの比較調査を行うとともに、在宅終末期医療に先駆的に取り組んでいる国内の医療機関と訪問看護機関を対象とした実態調査を行って医師と看護師との実際の連携のあり方を明らかにし、特に迅速な対応が求められる疼痛緩和に関する事前約束指示の形を提示した。また、死亡確認に関する法令・文献調査を行い、在宅療養者の看取りにおける死亡確認に関する事前約束指示の形を検討した。
結果と考察
諸外国の実態調査からは、日本への示唆として、ケア基準の作成、病院と地域との連携強化、緩和ケア専門看護師の活用、が必要であるとされた。
国内の実態調査からは、対象となった医師・看護師のほぼ全員が事前約束指示の必要性を訴え、特に疼痛緩和と死亡診断については早急に整備してほしいとの意見が強かった。
本研究では、疼痛緩和に関する事前約束指示については、まずこの指示が成立するための条件を次の通り挙げた。①指示を出す医師の臨床能力評価、②訪問看護師の臨床能力の評価とそれに応じた指示内容の規定、③医師と看護師との密接な連携、④必須の指示内容。
死亡診断に関する事前約束指示としては、一定のルールを設けて訪問看護師が死亡確認できるような形にすべく、疾患を末期がんとAIDSに限定し、継続して診察していた患者が医師の診察後一定期間内に心肺停止した場合につき、あらかじめ指示した方法によって看護師が死亡確認をし、必要な処置に入れるようにするものであるとした。
結論
訪問看護師と医師との連携に関し、国内と諸外国での実態調査を踏まえ、在宅療養者の終末期の疼痛緩和と死亡確認に関する、医師から訪問看護師への事前約束指示の形を提示した。重要なことは、この指示を活用して患者・家族に高品質の医療を安全かつ確実に提供することであり、そのためには事前約束指示を用いるための条件を厳密にすることである。今後、このような形の指示の有効性を検討する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
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