災害時医療体制の整備促進に関する研究

文献情報

文献番号
200634042A
報告書区分
総括
研究課題名
災害時医療体制の整備促進に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
辺見 弘(国立病院機構災害医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 中山 伸一(兵庫県災害医療センター)
  • 大友 康裕(東京医科歯科大学)
  • 山田 憲彦(防衛医科大学校)
  • 冨岡 譲二(医療法人財団池友会福岡和白病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
DMATの活動における諸課題に対して、具体的課題の抽出とその対応策を導き出すことを目的とした。
研究方法
上記の課題を解決するために、研究協力者が協力して検討を加えた。
結果と考察
1)DMATロジに関する研究:広域医療搬送における医療機器等の携行では必要数の調達が困難であるため、医療機器や酸素ボンベなど資機材等の調達のための被災地外拠点のロジステーション機能や備蓄を含めた検討を行う必要がある。航空機内の電源確保にあたり、周波数変換装置またはバッテリーの機内への常設が望まれる。DMAT活動における通信手段の確保については、業務用無線の携帯および日本赤十字社救護班が常備している無線設備の活用についての課題があげられた。MCA無線の活用について、利便性に優れているが、通話可能エリアの問題が確認された。災害時におけるX線装置の使用については、現在国内では災害時におけるX線装置の使用が認められていないため、SCU、病院支援、救護所などの臨時医療施設で撮影の必要性を確認した。ロジの役割は、多種多様であり、多くの資質・能力が求められ、医療機器知識・医療専門用語といった多くの医療知識も必要とされる。
2)地方・地域におけるDMATの活用に関する研究:自治体における地域防災計画とDMATとの関係を明確にし、DMATの運用にあたることは重要である。今年度東北地方のDMATについて調査したところ、重要な行政的な手続きが十分でないこと、自治体ならびに地方においてはDMATのみならず災害対応の準備状況に問題があることが明らかになった。
3)地方自治体DMATのあり方に関する研究:近隣災害から、地震などの広域災害に亘るまでをカバーし得る体制として、自治体ベースのDMAT運用の期待が高まっている。2006年7月に発足した埼玉DMATは、市町村ベースの消防組織を持つ地域としては初めての自治体DMATである。また、埼玉DMATは埼玉特別機動援助隊(埼玉SMART)の構成要素としても機能できるような組織体制となっており、今後の消防組織との連携においても非常に有機的な運用体制と考えられる。
4)DMATと地域医師会の連携に関する研究:平成12年6月、救急災害医療対策委員会答申では「救急災害時における医師会の役割を提言」をまとめている。 この中には、日本DMATの関わりに関しては記述がなく、都道府県医師会は地方自治体と連携し積極的にDMAT活動に関与していくことが重要な課題である。
結論
DMATの活動について、引き続き諸課題についての検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

文献情報

文献番号
200634042B
報告書区分
総合
研究課題名
災害時医療体制の整備促進に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
辺見 弘(国立病院機構災害医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 大友康裕(東京医科歯科大学大学院 救急災害医学分野教授)
  • 山田憲彦(防衛医科大学校 教授)
  • 冨岡譲二(福岡和白病院 救急センター長)
  • 中山伸一(兵庫県災害医療センター 副センター長)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
発災後、超急性期に出動し、様々な派遣先(救出救助現場、現場救護所、災害拠点病院、空港の広域搬送拠点、航空機内等)に対応して、重症傷病者に適切な超急性期の救命医療を提供するためには、派遣される医療チームの高い能力と資質が求められる。 
 厚生労働省はDMATとして整理し平成17年度に導入した。災害時にその能力を十分に発揮するためには、解決するべき諸課題があげられる。本研究班は、DMATの活動における具体的な問題点に対しての対応を検討し、今後のDMAT活動のあり方を検討することを目的とする。
研究方法
分担研究者、研究協力者により以下の点について検討した。
1. 研修のあり方
2.災害超急性期医療におけるDMATの派遣体制の整備
3.指揮命令、派遣要請基準、派遣要請方法
4.派遣される医療者に求められる能力/資質、派遣登録者の資格
5.移動手段
6.通信手段
7.必要な医療資器材/装備
8.先遣医療チームのあり方(情報収集、報告)
9.本部機能のあり方(派遣規模の決定、派遣先指定/変更、撤収、2次隊派遣の要否等)
10.現地医療機関への支援医療のあり方
11.補償の問題
12.各都道府県で設置した DMATとの連携
13.緊急消防援助隊との連携
14.DMAT診療指針の策定
15.テロ等を含めた特殊災害対応
結果と考察
1,DMAT活動要領としてDMATの初期活動指針を示した。
2,広域災害医療情報システムを改変しDMAT活動メニューを新設した
3,被災地内の通信手段として、衛星携帯電話に加え、MCA無線、FM無線を検討した
4,DMAT隊員養成研修会の質の確保のために、「DMAT研修会の質の確保のための評価指標」を作成した。
5,9月1日に開催された内閣府総合防災訓練 広域医療搬送実働訓練の企画、実施、反省に関与した。
6,DMAT活動の啓蒙のために、パンフレット、訓練DVDを作成し配付した。
7,地方地域におけるDMATの活用に関する研究を行った。
8,DMATと医師会との連携について検討した。
9,ロジスティクスの諸問題について検討した。
10,広域医療搬送のあり方について検討し、C1航空機の重症患者搭乗数を8名、SCUのベッド数を20床を標準とした。
11,広域医療情報システムの問題点を解析し改訂した。
12,病院の脆弱性について標準研修プログラムを作成した。
13,災害医療の高度化に関して検討した。
結論
災害超急性期から急性期のDMAT活動は、国民の生命を守り、「避けられた災害死」を減らすための重要な要素である。
DMATの円滑な活用のために、諸課題について引き続き検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200634042C