持続可能なへき地等における保健医療を実現する方策に関する研究

文献情報

文献番号
200634040A
報告書区分
総括
研究課題名
持続可能なへき地等における保健医療を実現する方策に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-009
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
鈴川 正之(自治医科大学救急医学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 大田 宣弘(島根県立中央病院)
  • 米倉 正大(独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター)
  • 嶽崎 俊郎(鹿児島大学大学院 国際島嶼医療学)
  • 浅井 康文(札幌医科大学高度救命救急センター)
  • 加藤 正哉(自治医科大学 医学部)
  • 杉田 義博(東京北社会保険病院)
  • 中村 好一(自治医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
持続可能なへき地・離島における保健医療を実現する方策を立案するために、へき地・離島における保健医療体制の現状および問題点を明らかにすることを目的として、各地で保健医療政策に関する調査を行なった。
 合わせて、第10次へき地保健医療計画に盛り込まれた都道府県へき地保健医療計画を策定する際の参考となる、「都道府県へき地・離島保健医療計画策定に向けての事例集」を編纂した。
研究方法
島根県隠岐諸島における産婦人科医師減少に伴い本土出産を余儀なくされた妊婦に対して調査を行ない、不足している診療科の集約化について検討を行なった。長崎県の外海小離島である小値賀島、奈留島、新潟県湯沢町において、産科医療、母子保健、小児の診療に関する住民調査を行なった。鹿児島県三島村、十島村、鹿島村、与論町において、保健医療福祉サービスの現状、医療の満足度について住民アンケートを施行し詳細な分析を行なった。全国の中でも医師をはじめとする医療職種の流出・不足が著しい北海道における地域の医療状況について調査を行なった。へき地・離島における医療機関の運営、医師養成・派遣に関するシステムなどについて「事例集」としてまとめた。
結果と考察
本土出産について妊婦からは肯定的な評価は得られず、集約化について離島の住民の理解を得ることは難しいことが判明した。不足している産科医については専攻を義務付けるべきであるとの意見が多く、母子保健・小児の診療については小児科専門医による対応を望む回答が多かったが、小児の時間外の対応にはまず小児科医以外を含む診療所医師による対応を望むものが多く、診療所におけるプライマリケアの対応については評価することができると考えられた。島外受診の理由には「専門的医療」があげられ、島内受診は「便利」を理由とするものが多かった。北海道では医師不足により地域の医療機関の診療能力が低下し、ドクターヘリによる搬送件数の増加を来たしていることが判明した。今回作成した「事例集」により、都道府県が他の地域で行なわれている事業や失敗を参考にして、実現性のあるへき地保健医療計画を策定することが期待できる。
結論
持続可能なへき地・離島における保健医療を実現するためには、住民などのコンセンサスを得て最低限度の保健医療の恩恵を保証する全国的な基準作りが重要であり、また通信技術やヘリコプターなどの新しい技術を活用する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2007-04-17
更新日
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