透析施設におけるブラッドアクセス関連事故防止に関する研究

文献情報

文献番号
200634038A
報告書区分
総括
研究課題名
透析施設におけるブラッドアクセス関連事故防止に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-007
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山崎 親雄(社団法人日本透析医会)
研究分担者(所属機関)
  • 秋澤 忠男(昭和大学病院 腎臓内科)
  • 大平 整爾(医療法人社団恵水会 札幌北クリニック)
  • 鈴木 正司(社会福祉法人新潟市社会事業協会 信楽園病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
透析死亡事故のうち,最も頻度の高い抜針事故の実態調査と事故防止について,4つの研究を実施し,事故防止に関する具体的な提案を示すことを目的とした.
研究方法
以下の4研究を実施した.
1.抜針事故の現状調査
2.抜針事故防止のための工夫に関する調査
 1.2の研究は,各施設で経験された抜針事故について,インターネットを活用してアンケートを実施した.また,各施設での抜針事故防止に関する工夫については,デジタルカメラで撮影し,e-mailを用いて収集した.

3.静脈側抜針に関する実験的検証
静脈圧警報装置が鳴らない前に,大量出血を来たす抜針事故の再現実験を行った.

4.地域における「医療事故・医療ミスの実態把握と改善への取り組み」
あらかじめ手あげ方式で研究に参加する意思を表明した愛知県透析医会員施設の透析関連事故を,匿名性を遵守した上で集計し,報告会を通じて検討した.
結果と考察
研究1・2では,調査を依頼した238施設のうちの194施設から回答が得られた.
また,194施設から送付された画像は総計431枚にのぼり,内訳は各施設の通常透析における針および回路の固定に関する画像294枚などであった.
研究3では,テープ固定しない穿刺針を人工血管に穿刺し,透析液を還流しつつ静脈圧70mmHgにて穿刺部位の経時的変化を観察した.その結果,静脈圧警報装置が鳴らないまま約5分間,抜けかけた状況の穿刺針周囲から大量に還流液漏れ(臨床的には出血にあたる)を生じた.出血量に換算すると800から1100mLであった.
研究4では,いわゆる重篤な事故が51例集計され,このうち抜針事故は10例であった.集計結果と,主たる事故の具体的な内容については,3回にわたる研究会で報告された.こうした事故情報の共有は,各施設で安全文化を確立する一助となる.
結論
研究1・2・3の成果は,目で見る事故防止策としてまとめる予定であり,愛知県で実施された研究4の成果は,事故事例集としてまとめ,全国の施設での事故防止に役立てることにより,より安全で質の高い透析が提供可能になる.

公開日・更新日

公開日
2007-06-21
更新日
-