医療関連死の調査分析に係る研究

文献情報

文献番号
200634037A
報告書区分
総括
研究課題名
医療関連死の調査分析に係る研究
課題番号
H17-医療-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山口 徹(国家公務員共済組合連合会虎の門病院)
研究分担者(所属機関)
  • 吉田謙一(東京大学大学院医学系研究科法医学講座)
  • 城山英明(東京大学大学院法学政治学研究科現代行政分析講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
診療行為に関連した死亡の原因究明を行う中立的専門機関の在り方等について、専門的・学術的な観点から検討を行い、我が国における医療関連死の死因究明制度の検討に資することを目的としている
研究方法
評価結果報告書の内容の検討と、今年度新規モデル事業実施地域事務局への訪問インタビュー等を行った。また、モデル事業に実際に参加した遺族や医療機関、調査に携わった解剖医等へのアンケート等を行い、モデル事業についての実態把握を行った。海外(英国等)における医療関連死の調査分析制度の現状についての調査も行った
結果と考察
訪問インタビューではモデル事業参加の背景や動機等には地域差があり、その地域差を尊重しつつ統一化を図る必要があることが分った。評価報告書については、報告書にどこまでの結果を書き込むべきか、書き込んでよいか、道筋を示してほしいとの意見が多かった。医学的評価としての報告書が、訴訟という法的判断枠組みにおいてどう扱われるか法制度的な検討を行った。その結果、モデル事業の目的とは何かを明確にすべきであるとともに、法律家の参加する意義についても多少整理の必要があると考えられた。遺族への調査結果から、医療機関には遺族への説明と情報提供、良好なコミュニケーションの構築について一層の努力が期待されること、モデル事業の中立性への配慮が重要であること、遺族と評価者間の継続的、双方向的なやりとりが必要で、そのための方策検討の必要性が示唆された。医療従事者及び医療安全管理者への調査結果からは、モデル事業に期待し満足しているという結果が多い一方で、モデル事業の評価報告を受ける迄の期間の長さが、遺族と依頼医療機関との関係を悪化させる可能性などへの意見があった。
結論
まだ試行段階であるモデル事業は、批判に晒されて問題点を見出し、更にそれらの問題について今後の運用に向けた細やかな対応が必要である。平成19年4月からは、厚生労働省において有識者による検討会も開催予定であり、医療行為に関連した死亡事例を中立的専門機関に届出て第三者による調査・分析を行う試みの全国的制度化に向けて、今後人的、組織的、法的、財政的な問題を更に整理検討する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2008-07-03
更新日
-