小児医療における安全管理指針の策定に関する研究

文献情報

文献番号
200634034A
報告書区分
総括
研究課題名
小児医療における安全管理指針の策定に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
阪井 裕一(国立成育医療センター手術集中治療部)
研究分担者(所属機関)
  • 羽鳥 文麿(国立成育医療センター総合診療部救急診療科)
  • 中川 聡(国立成育医療センター手術集中治療部集中治療科)
  • 伊藤 龍子(国立成育医療センター研究所成育政策科学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の乳児死亡率が世界で最も良いことはよく知られているが、一方で1-4歳の死亡率が先進国の中で最悪の水準にあることはあまり知られていない。本班研究の目的は、生命の危機に瀕している小児患者を安全に管理するための指針を、医療制度を含む包括的な観点から策定することである。
研究方法
昨年本研究班で策定した指針案を、日本集中治療医学会と日本小児科学会に諮って完成させ、合同の指針とできるように議論を重ねた。さらに、文献検索により小児医療における安全管理指針についての世界の状況を把握した。
結果と考察
1. PICU設置のための指針案
当研究班と日本集中治療医学会、日本小児科学会の合同の指針として発表できる準備を整えることができた。
2. 小児医療における患者の安全管理対策に関する文献的考察
米国では、1993年にアメリカ集中治療医学会が小児集中治療のガイドラインを策定し、2004年に改訂されている。今回はこの改訂版を翻訳した。

医療の安全を高める方法として、個々の事例を取り上げて分析し、再発予防につなげるという方策や、個々の疾病に対する診療ガイドラインを作成して診療の標準化を目指すアプローチが盛んに試みられている。しかし、医療の体制を整備、再編して患者に安全な環境を提供するという方法も同様に重要なはずであるが、小児医療においてこのような観点からの議論は未だ盛んではない。前者に比べて、議論することそのものも困難であり、実現を図ることはさらに困難であるからであろう。
米国ではすでに1993年にアメリカ集中治療医学会により小児集中治療のガイドラインが策定されている。その後急速に小児集中治療が発展して新たな指針が必要となり、アメリカ小児科学会とアメリカ集中治療医学会が連携して2004年にガイドラインの改訂を行っている。本研究班が現在指針案を作り、両学会に呼びかけているわが国の現状は、米国に20年近く遅れていると言わざるを得ない。わが国の1-4歳の子どもの死亡率が先進国の中で最悪の水準にある理由の一端が、小児集中治療体制の整備の遅れにあることは明白である。
結論
学会と共同で「PICU設置のための指針」を策定した。米国に10余年遅れたとはいえ、生命の危機に瀕した小児患者の管理の指針を策定したことが、わが国の小児医療体制の改革につながり、1-4歳の死亡率の改善を目指した安全な小児医療の実現への第一歩となると考える。

公開日・更新日

公開日
2007-06-26
更新日
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