終末期医療の質の向上に関する研究

文献情報

文献番号
200634033A
報告書区分
総括
研究課題名
終末期医療の質の向上に関する研究
課題番号
H17-医療-一般-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
林 謙治(国立保健医療科学院)
研究分担者(所属機関)
  • 児玉 知子(国立保健医療科学院 政策科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、これまでの終末期医療に関わる研究結果や国民の意識調査、医療現場での課題を基に、法律を含め多側面から研究協力を得ることにより、社会的コンセンサス形成のための基盤作りをし、終末期医療における望ましい医療の内容として、インフォームドコンセントのあり方や患者の意思確認の方法と手続き、延命治療の差し控えや打ち切りに関する問題点を整理し、患者の立場からQOLを尊重した終末期医療の質の向上と普及を図るものとする。
研究方法
本年度は国内4911病院を対象に、終末期医療におけるがん患者への病名や予後告知、治療方針の選択や延命治療希望の有無についての対応、終末期の患者の意思決定における実務上の問題点、また倫理委員会の設置・運営状況についてアンケート調査を行った。また終末期医療の法的・倫理的課題への対応について、英国保健省等の行政機関や医療実務者の取り組み、病院・保健福祉施設・在宅医療を包括した地域における緩和ケアと看取りのパスウェイについて調査した。
結果と考察
全国調査回収率32.2%(有効回答率31.9%)、病床数規模での差異はみられるものの、平均で病名告知率65.7%、余命告知29.9%、治療方針確認64.0%、延命処置希望確認53.9%であった。病院内の倫理委員会設置率は51.1%、さらに16.8%が設置予定(計67.9%)としており、倫理委員会情報公開については、原則議事録まで全て公開(22.8%)、一部公開(26.3%)、非公開(50.9%)であった。終末期医療における何らかのガイドラインを作成することについては「賛成」1,104(71.7%)「反対」41(2.7%)「どちらともいえない」323(21.0%)「無回答」72(4.6%)であった。英国調査では、2007年4月施行の“Mental Capacity Act 2005“により、判断能力がないものの意思決定に関する体制が充実され、End of Life Care Program実施によりホスピスから病院、在宅、施設にいたる各所で看取りのケアの質を向上するためのパスが試行されるなどの報告を得た。
結論
本研究により、がん患者の終末期医療現場でのインフォームドコンセントの実態と病院内の倫理的課題への対応が部分的に明らかになった。今後はさらに判断能力のない患者に対するインフォームドコンセントや意思決定の手続きについても検討が必要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
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