外来主要疾患診断における各問診項目の操作特性に関する研究

文献情報

文献番号
200634022A
報告書区分
総括
研究課題名
外来主要疾患診断における各問診項目の操作特性に関する研究
課題番号
H16-医療-一般-025
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
生坂 政臣(千葉大学医学部附属病院 総合診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 馬杉 綾子(千葉大学大学院医学研究院先端応用医学研究部門 先端応用学講座臨床診断学)
  • 金 信浩(千葉大学医学部附属病院 総合診療部)
  • 大平 善之(千葉大学医学部附属病院 総合診療部)
  • 三笠 グラント(千葉大学医学部附属病院 総合診療部)
  • 西澤 夏子(千葉大学医学部附属病院 総合診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
1,330,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究全体の目的は、一般外来での高頻度疾患に対する問診事項の操作特性を明らかにし,医師のための効率的な問診術およびコンピュータ診断につながる患者用問診表を確立することである.研究3年目(最終年)である本年度は、めまい、頭痛、手のしびれに関して調査を継続し、症例数を増加させて研究2年目までに明らかとなった診断に有用な項目の独立性を検証した。また、医師の問診結果と一致しない問診票の質問項目は、文章では患者が理解しにくく、問診票の項目としては不適切であると考えられるため、本年度は、患者が問診表に記入した内容と、外来医が聴取した問診内容の一致度についても調査した。
研究方法
文献渉猟とエキスパートパネルにより,高頻度疾患の診断に必要な問診事項を収集し、外来患者に問診データを記入させ、各問診事項の操作特性を算出した。このうち、有意に尤度比の高い(低い)問診項目に対してロジスティック解析を行い、それぞれの独立性を検証した。外来医はタッチパネル式の問診票を用いて、病歴聴取を行った。最終診断は、疾患毎の診断基準、当部内カンファレンス、または当該専門診療科で決定された。
結果と考察
今回の問診項目では、問診票と医師の問診内容とは概ね高い一致を示した。めまいに関しては、診察前問診表において「床の中で寝返りをうった時にめまいが生じる」,「1回のめまいは2分以内である」,「ぐるぐる回る」の3つの質問が、BPPVに対する独立した陽性尤度比の高い項目であり、必要十分な問診と結論づけられた。片頭痛の診断に関しては、嘔気,光過敏,体動で増悪の3項目が独立した必要かつ十分な問診項目であることが判明した。その他の疾患に対しても、有用な問診項目が抽出されたが、BPPVと片頭痛以外は、疾患ごとの症例数が十分でなく、各問診項目の独立性の検証には至らなかった。
結論
独立性の検証が可能であったBPPVと片頭痛は、めまい、頭痛の最も頻度の高い疾患のひとつであるため、まず症候別に3つの問診を行い、この二つの疾患か否かを判定するところから始めることによって、きわめて効率の良いめまい、あるいは頭痛診療が可能になる。このように診断に有用な問診項目を明らかにすることにより,問診表からのコンピータ診断や、病歴聴取の効率化による費用対効果の高い診療が可能になると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2007-08-03
更新日
-

文献情報

文献番号
200634022B
報告書区分
総合
研究課題名
外来主要疾患診断における各問診項目の操作特性に関する研究
課題番号
H16-医療-一般-025
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
生坂 政臣(千葉大学医学部附属病院 総合診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 馬杉 綾子(千葉大学大学院医学研究院先端応用医学研究部門 先端応用学講座臨床診断学)
  • 金 信浩(千葉大学医学部附属病院 総合診療部)
  • 大平 善之(千葉大学医学部附属病院 総合診療部)
  • 三笠 グラント(千葉大学医学部附属病院 総合診療部)
  • 西澤 夏子(千葉大学医学部附属病院 総合診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
一般外来での高頻度疾患に対する各問診事項の操作特性を明らかにし、効率的かつ正確な病歴聴取術の確立が本研究の目的である。科学的根拠に基づいた病歴聴取術が体系化されれば、検査を最小限に抑え、費用対効果の高い診療の浸透を期待できる。さらに、待合室での患者の手入力による問診装置や、近年盛んになりつつあるコメディカルが担当する電話相談や携帯端末における診断向上に寄与することが期待される。
研究方法
本研究では、文献渉猟とエキスパートパネルにより、高頻度疾患の診断に必要な問診事項を収集し、外来患者に問診データを入力させ、その後、各問診事項の感度と特異度と有病率から効率的な主訴別の問診項目を割り出した。その際、問診事項をプログラムされたタッチパネル方式の入力装置を利用した。一般外来での、めまい、頭痛、手のしびれ、腹痛に関して高頻度原因疾患の診断に有用な問診項目を抽出し、それぞれの問診事項の独立性を検証した。また、患者が問診表に記入した内容と外来医が聴取した問診内容の一致度を調査した。
結果と考察
今回の問診項目では、問診票と医師の問診内容とは概ね高い一致を示した。めまいに関しては「床の中で寝返りをうった時にめまいが生じる」、「1回のめまいは2分以内である」、「ぐるぐる回る」の3つの質問がBPPVに対する独立した陽性尤度比の高い項目であり、必要十分な問診と結論づけられた。その他、うつ病や起立性低血圧においても有用な問診項目が抽出された。頭痛に関しては、片頭痛の診断に関しては、嘔気、光過敏、体動で増悪の3項目が独立した必要かつ十分な問診項目であることが判明した。その他、頭痛の原因疾患である群発頭痛、うつ病、後頭神経痛、副鼻腔炎、しびれを生じる手根間症候群、頸椎症、気分障害、身体表現性障害、腹痛の原因となる急性胃腸炎、過敏性腸症候群、逆流性食道炎、うつ病に関しては有用な問診項目が抽出された。
結論
独立性の検証が可能であった、BPPVと片頭痛は、めまい、頭痛の最も頻度の高い疾患のひとつであるため、まず各々の3つの問診を行い、この二つの疾患か否かを判定するところから始めることによって、きわめて効率の良いめまいや頭痛診療が可能になる。このように診断に有用な問診項目を明らかにすることにより、問診表からのコンピータ診断や、病歴聴取の効率化による費用対効果の高い診療が可能になると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2007-08-03
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200634022C