医療・看護事故(インシデントを含む)をエビデンスにした看護技術の標準化に関する研究

文献情報

文献番号
200634019A
報告書区分
総括
研究課題名
医療・看護事故(インシデントを含む)をエビデンスにした看護技術の標準化に関する研究
課題番号
H16-医療-一般-022
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
川嶋 みどり(日本赤十字看護大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 守田 美奈子(日本赤十字看護大学 看護学部)
  • 本庄 恵子(日本赤十字看護大学 看護学部)
  • 川原 由佳里(日本赤十字看護大学 看護学部)
  • 佐々木 幾美(日本赤十字看護大学 看護学部)
  • 吉田 みつ子(日本赤十字看護大学 看護学部)
  • 村上 睦子(日本赤十字社医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
2,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
学生が自己モニタリング力を高め、かつヒヤリ・ハットに出会ったときに、対処可能な具体的な対策について学ぶことができるような教材テキスト案を作成し、看護学生を対象に、妥当性・有用性を評価・検討することを目的とした。
研究方法
教材テキストは、看護学実習におけるヒヤリ・ハットの知識を提供すること(ヒヤリ・ハットの種類と発生頻度、患者の特徴、学生の看護技術の種類、技術修得度、思考・多重課題、発生状況の時間、場所等)、ヒヤリ・ハットを防止するための学生のメタ認知能力を高める工夫をすることをねらいとした。発生状況のリアリティの表現に重点を置き漫画によってストーリーを表現、イラストを多用しイメージしやすくする工夫を行い、学生の体験頻度の高い車椅子移乗とした。A5サイズ見開き4ページである。【方法】看護専門学校、短大、大学計64校に調査を依頼し、32校3,844名に配布した。回収数は973名(回収率25.3%)。調査期間は、平成18年12月?平成19年2月末。「ヒヤリ・ハット事例(案)」の妥当性・有用性評価の枠組みは個人の特性、教材に対する評価(教材のねらい・目標、教材の構成・表現等)とした。
結果と考察
対象者は20歳321名(33.0%)、21歳317名(312.6%)の順に多く、平均年齢21.3歳(標準偏差2.6歳)。3年生425名(43.7%)、2年生385名(39.6%)。「車椅子移乗」のヒヤリ・ハットを体験したことがある者とない者が約半々で、「ヒヤリ・ハット事例」(案)を読むことで6割以上が自分も起こすかもしれないという危機感を持ち、予測的な思考を持つことにつながったと考えられる。看護学生にとって身近に体験する事例であるという回答も7割以上あり、自由記載からも学生の立場、心情にたったものであったと評価できた。ヒヤリ・ハット回避策の説明文のわかりやすさや具体性については、約5割程度がとてもよいと回答したが、具体的で学生が実行可能な行動レベルでの回避策の提示、簡潔明瞭な内容が求められていることが明らかになった。
結論
マンガを適宜取り入れ学生が関心を持ちやすくする、チェックリストを作成、防止策なども簡潔で短い文章とする、具体的で行動レベルで展開できる内容にする、自己学習課題事例を提示する、ヒヤリ・ハットが発生した後の対応についても含めることを主な改善点とし技術項目全般を含め追加作成予定である。

公開日・更新日

公開日
2018-06-06
更新日
-

文献情報

文献番号
200634019B
報告書区分
総合
研究課題名
医療・看護事故(インシデントを含む)をエビデンスにした看護技術の標準化に関する研究
課題番号
H16-医療-一般-022
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
川嶋 みどり(日本赤十字看護大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 守田 美奈子(日本赤十字看護大学 看護学部)
  • 川原 由佳里(日本赤十字看護大学 看護学部)
  • 佐々木 幾美(日本赤十字看護大学 看護学部)
  • 本庄 恵子(日本赤十字看護大学 看護学部)
  • 吉田 みつ子(日本赤十字看護大学 看護学部)
  • 村上 睦子(日本赤十字社医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
看護基礎教育における看護技術教育を安全性の視点から検討し、これまでに蓄積された看護技術のエビデンスと医療・看護事故予防に関するエビデンスを統合し、看護技術教育における基準(教育教材の開発)を作成することを目的とした。
研究方法
平成16年度は既刊の基礎看護技術教科書の技術項目毎に、現時点での標準的手順及びエビデンス、必要なエビデンス等を抽出し、過去に起きた医療・看護事故/過誤事例と対比させ内容を吟味したところ、医療事故やヒヤリ・ハット事例を積極的に掲載したり、それを踏まえた安全な技術手順について強調したテキストは、ほとんどみられず、メタ認知からヒューマンエラーを捉える必要性が示唆され、メタ認知能力を持った学生を育成するための教育方法が重要であることが明確になった。平成16~17年度は、3年課程看護専門学校、3年課程看護短期大学、看護大学の学生合計177校、8,511名に臨地実習におけるヒヤリ・ハット体験調査を実施した。
結果と考察
回収数は1522名(回収率17.9%)。学生の体験は、体位・姿勢の保持、移動、生活環境の整備、保清・整容という生活援助技術に関する内容が多く、専門学校生で体験が多い傾向にあり、実習形態や看護技術の実施頻度、実習時の指導体制、レディネスや予見・予測的思考などのさまざまな要因が関連していると推察された。学年進行にしたがい、ヒヤリ・ハット体験割合が増えている技術項目が多く、技術を実施する機会が増えヒヤリ・ハット体験の増加につながっていると推察された。平成18年度は学生が自己モニタリング力を高め、かつヒヤリ・ハットに出会ったときに、対処可能な具体的な対策について学ぶ教材テキスト案を作成し、看護学生を対象に、妥当性・有用性を評価・検討した。教材テキストは、題材は学生のヒヤリ・ハットの中でもっとも頻度の多い車椅子移乗とした。看護専門学校、短大、大学32校3,844名に調査用紙を配布した。回収数は973名(回収率25.3%)。「ヒヤリ・ハット事例」(案)を読むことでヒヤリ・ハットが起こりやすい状況を理解し予測的な思考を持つことにつながったという解答がみられたが、より具体的で学生が実行可能な回避策の提示、簡潔明瞭な内容が求められていることが明確になった。
結論
看護学生の臨地実習におけるヒヤリ・ハット体験調査結果のエビデンスに基づき、学生が興味・関心をもち、自己学習を行うことの出来るようなテキストを作成することができた。このテキストは看護技術教育における基準としても活用されうるものと思われる。

公開日・更新日

公開日
2018-06-06
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200634019C

成果

専門的・学術的観点からの成果
看護学生が臨地実習において体験しやすいヒヤリ・ハット事例について全国規模の調査を実施し、環境要因や発生状況の文脈も含めて明確化したことは調査結果としての価値も大きく全国的な傾が明確となった。またそのエビデンスに基づくテキストを作成したことは看護基礎教育にもたらす意味は大きいと思われる。
臨床的観点からの成果
臨床現場で求められる実践力と基礎教育終了時の技術レベルの乖離が指摘される中で、臨地実習を通して、ヒヤリ・ハットが起こりやすい状況を理解し、予測的な思考を持つこと、学生が回避策をとれるようなテキストを成果物とした点は、臨床実習における意義が大きいと思われる。
ガイドライン等の開発
本研究はそもそも看護基礎教育における看護技術教育を安全性の視点から検討し、これまでに蓄積された看護技術のエビデンスと医療・看護事故予防に関するエビデンスを統合し、看護技術教育における基準を検討することを目的とした。成果物であるテキストは看護基礎教育における看護技術教育の基準・ガイドラインとしての利用価値も高い。
その他行政的観点からの成果
臨床現場で求められる実践力と基礎教育終了時の技術レベルの乖離が指摘される中で、いかに基礎教育において安全で実践力の高い看護専門職を育成できるような教育基準や臨地実習時間数の検討がある。その点において、本研究の成果が検討材料として看護学生のヒヤリ・ハット体験の実態を明確化しており、有用な資料を提供するものと思われる。
その他のインパクト
本研究の成果物として出版予定のテキストに含まれる内容は、看護教育・実践の現場のみならず介護の現場にも共通する部分も多く、影響力をもたらすものと推測される。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2018-06-06
更新日
-