訪問看護支援システムの構築に関する研究

文献情報

文献番号
200634018A
報告書区分
総括
研究課題名
訪問看護支援システムの構築に関する研究
課題番号
H16-医療-一般-021
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
梅田 徳男(北里大学 医療衛生学部)
研究分担者(所属機関)
  • 池田 俊昭(北里大学 医療衛生学部)
  • 山本 晴章(やまもとクリニック)
  • 大川 明子(名古屋市立大学 看護学部)
  • 原内 一(川崎医療短期大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では退院後の経過観察や慢性疾患の患者自身が在宅のままバイタルデータを測定・取得し、それを施設にいる主治医に送信し、施設側の当該患者のデータに自動統合・一元管理できる、操作性のよいシステムの構築を行う。また、患者の疾患によって必要となるバイタルデータが異なることから、測定機器をオプション形式で選択できる個人単位のシステムとする。さらにシステム本体は普及が著しいパーソナルコンピュータで構成し、主治医の施設へのバイタルデータの送信は電話回線を利用して1日1回送信であることから設備投資、維持費共に低く抑えることができる。これによって一人一人の患者に応じた、在宅患者と主治医の施設である個人病院・中核病院とを結ぶことのできる安価なシステムを構築する。また、患者や医療従事者が必要とすれば、遠隔可動操作式のカメラを通じて患者の観察が行えるシステムとし、医用画像・医療情報の著作権保証、安全性・秘匿性を確保したステムとする。
研究方法
本実験システムでは,在宅患者宅から訪問看護ステーションに数値で毎日送る当日のバイタルデータを,訪問看護ステーションでチャート化して経時的な変化も観られるようにする。このチャートは在宅患者宅にも返送し,当該患者も観られるようにする。また,在宅患者宅では今相談している在宅看護者やかかりつけ医などの顔が,訪問看護ステーションでは患者の顔が見られ,あたかも直接対話ができているようにカメラ・ボイスシステムも組み入れるた。
また、訪問前、訪問中、訪問後に訪問看護師が作成する記録書作成システムを構築する。
結果と考察
本構築システムは、患者と個人病院とが同一の血圧・脈拍値、血糖値、体重・体脂肪率、体温のデータをもつことのできるシステムであることから、個人病院は患者の健康情報に関する評価・検討をおこない、患者にフィードバックすることで、コンサルテーションにも役立つシステムであった。患者個人の疾患に応じて必要となるバイタルデータ測定機器は異なることから、機器の選択を自由に行うことができた。
 訪問看護師が訪問前、訪問中、訪問後に作成する記録書作成システムをS市医師会訪問看護ステーションにてデモし、評価を受けた。また、現在上記ステーションにて利用されている既存システムのデモを受け、システムに関する意見交換を行った。今後、構築システムの設計変更を行うとともに、意見交換時に提案されたハードウエアの小型化を検討する必要がある。
結論
本構築システムは廉価で有用なシステムとなり得る。

公開日・更新日

公開日
2018-06-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200634018B
報告書区分
総合
研究課題名
訪問看護支援システムの構築に関する研究
課題番号
H16-医療-一般-021
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
梅田 徳男(北里大学 医療衛生学部)
研究分担者(所属機関)
  • 池田 俊昭(北里大学・医療衛生学部)
  • 山本 晴章(やまもとクリニック)
  • 大川 明子(名古屋市立大学・看護学部)
  • 原内 一(川崎医療短期大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
訪問看護支援システムの個別システムを次のように構築する。この際のシステム構築の基本は『住み慣れた地域・自宅で、患者が安心して訪問看護を受療できる』、また『在宅看護者の負担を軽減する』システムとする。
研究方法
1.在宅患者システム:家族や患者自身が収集した血圧等のバイタルデータ、糖尿病患者などの慢性患者、退院予後患者の疾病管理情報を、医療機関に毎日、電話回線等を利用して伝送できるシステムを構築する。
2.訪問看護ステーションシステム:在宅患者から伝送されてくる毎日の医療情報を受け取り、訪問看護者が経時的な変化を観察できるようにチャート化する。また、施設内の在宅患者の医用画像や検査情報と自動連結する。
3.双方の共通システム:カメラ、マイク・スピーカーを利用したテレビ会議システムで、直接話をしているがごとくに、対面相談できるシステムとする。
4.システム構築の基本設計:システムのソフトウエアの管理はすべて医療機関で行う。
結果と考察
1.在宅患者のバイタルデータ取得・伝送システムの構築
本研究では退院後の経過観察や慢性疾患の患者自身が在宅のままバイタルデータを測定・取得し、それを施設にいる主治医に送信し、施設側の当該患者のデータに自動統合・一元管理でき、操作性のよいシステムを構築した。
2.携帯電話を利用した在宅糖尿病患者の健康管理システムの構築
携帯電話を用いて外出先からでも簡便に食事・運動両療法を行うことができる治療支援システムを構築したことで、患者が積極的に食事・運動両療法に参加できた。
3.訪問看護支援システムの構築
本研究によって訪問看護における記録書作成システムを構築した。書類へ手書き入力する従来の方法と比較し、本構築システムを利用することで次のような利点が挙げられ、訪問看護師の負担軽減が図られた。①記録書作成にかかる負担の軽減、②毎回の訪問時に作成する記録書作成時間の短縮、③データ管理の簡便化、④任意の場所から記録書内容の閲覧、記録書作成が可能。
結論
在宅患者と主治医の施設である個人病院・中核病院、訪問看護ステーションとを連結できる安価なシステムが構築できた。本構築システムは携帯電話を利活用した糖尿病治療支援システムにも利活用できた。構築した訪問看護記録書作成支援システムは訪問看護師の負担軽減が図れた。
以上から、本構築システムは廉価で有用なシステムとなり得るシステムであると云える。

公開日・更新日

公開日
2018-06-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200634018C

成果

専門的・学術的観点からの成果
在宅患者のバイタルデータ取得・伝送システムの構築では、電子透かし技術を利用して、医療情報の伝送時に秘匿性の確保が行え、患者のバイタルデータを測定・取得し、施設側の当該患者のデータに自動統合できた。また、携帯電話を利用した在宅糖尿病患者の健康管理システムの構築では、外出先からでも糖尿病患者が食事・運動両療法のための摂取単位の計算・登録や運動内容の単位換算が行えた。さらに、訪問看護支援システムの構築では、訪問先で入力した患者データや褥瘡写真が訪問看護ステーション内システムに保管できた。
臨床的観点からの成果
在宅患者のバイタルデータ取得・伝送システムの構築結果から、患者自身が在宅のまま、医師からのメッセージやカメラ・ボイスシステムの利用で疑似対面相談ができるので、患者の安心感が増した。また、携帯電話を利用した在宅糖尿病患者の健康管理システムの構築結果からは、担当医からのメッセージも受信できるので、患者の療養に対する意識が高まる。さらに、訪問看護支援システムの構築結果からは、記録書作成時間の短縮、データ管理の簡便化、任意の場所から記録書内容の閲覧等が可能となり、訪問看護師の負担軽減が図られた。
ガイドライン等の開発
本研究は実験段階のシステムであるため、ガイドラインは作成していない。今後、本構築システムの実用化を計画しているので、システム利用者の立場、システム管理者の立場、システム運用の立場でのガイドラインの作成を行う必要がある。
その他行政的観点からの成果
在宅患者の健康管理意識が高まることで、これまでの医療は病気になったら病院に行くという受身の治療から、予防医療は自己責任の健康管理を行うことで病気になることを未然に防ぐ、すなわちプラス医療への転換が図られ、『元気に老いる』ために予防医療を実践できる。これらの結果、医療費の高騰を抑制できる一法となると予想できる。
その他のインパクト
高齢者に活気がみなぎり、生活習慣病を持ちながらも、地域での活動ができれば、『元気に老いる』ことができるので、一次予防にもつながり、高齢者の医療費低減も図れる。訪問看護師が在宅患者等をパソコンや携帯電話を利用して、看護・介護羽茂論のこと、予防医療を支援する、安価な生涯的に受療者の医療情報を一元管理できるシステムを構築することで、地域連携型予防医療支援用健康管理システムの構築が行える。

発表件数

原著論文(和文)
4件
主として、医療情報の安全で秘匿性を確保した伝送・保管についての研究結果を報告
原著論文(英文等)
3件
主として、医用画像処理や医療情報の安全で秘匿性を確保した伝送・保管についての研究結果を報告
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
6件
訪問看護システムの構築や患者情報の秘匿性を確保した安全な伝送・保管、訪問看護記録書作成システムの研究結果を報告
学会発表(国際学会等)
3件
訪問看護システムの構築や在宅患者の療法支援システムについての研究結果を報告
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
梅田徳男
医療情報システム構築の問題点とその対策-ソフトウエアを中心として-
日本放射線技術学会雑誌 , 60 (6) , 759-761  (2004)
原著論文2
大松将彦、橘英伸、梅田徳男
患者参加型NBM(Narrative Based Medicine)の実践を支援するためのインターネットを介した診療所向け電子診療録作成支援システムの構築
日本放射線技術学会雑誌 , 60 (6) , 818-828  (2004)
原著論文3
A. Okawa、T. Umeda、K. Urakawa
New Watermarking Technique Based e-Nursing System with secured Internet Communication: Tele-Nursing System Experiments
13th INTERNATIONAL Conference on Cancer Nursing Proceeding , 102-  (2004)
原著論文4
鈴木保、池田俊昭
MRIにおける繰り返し時間による信号対雑音比調整の試み
日本放射線技術学会誌 , 61 (1) , 104-109  (2005)
原著論文5
梅田徳男、大川明子
在宅看護支援遠隔システムの構築
日本看護研究学会雑誌 , 28 (3) , 107-  (2005)
原著論文6
大川明子、梅田徳男
外来がん患者の化学療法における遠隔看護支援教育システムの構築
日本看護研究学会雑誌 , 28 (3) , 111-  (2005)
原著論文7
梅田徳男、大川明子
秘匿性を確保した在宅看護支援用システムの構築
日本看護科学学会学術集会講演集 , 142-  (2005)
原著論文8
A. Takemura, M.Suzuki, H.Harauchi, et al.
Tracking Technique of a Micro Guide Wire in Sequential Fluorograms
日本放射線技術学会誌 , 61 (1) , 1623-1631  (2005)
原著論文9
A. Takemura, K. R. Hoffman, M.Suzuki, et al.
Microcatheter Tip Enhancement in Fluoroscopy: A Comparison of Techniques
Journal of Digital Imaging , 1-6  (2006)
原著論文10
大川明子、梅田徳男、山本晴章
日帰り手術における遠隔看護支援システムの構築
日本看護研究学会 , 29 (3) , 163-  (2006)
原著論文11
梅田徳男、大川明子、山本晴章
在宅患者を対象とした訪問看護支援システムの構築
日本看護研究学会 , 29 (3) , 191-  (2006)
原著論文12
H. Tachibana、 M. Omatsu、 K. Higuchi、et al.
Design and development of a secure DICOM-Network Attached Server
Computer Methods and Programs in Biomedicine , 81 (3) , 197-202  (2006)
原著論文13
橘 英伸、大松将彦、樋口 江、他
セキュアで低容量、低コスト化を可能とする画像配信サーバDICOM-Network Attached Server(DICOM-NAS)の設計と開発
日本放射線技術学会雑 , 62 (4) , 529-538  (2006)
原著論文14
T. Umeda、A. Okawa、T. Ikeda、et al.
Visit Nursing Station System with Secured Internet Communication using Watermarking Technique : Tele-nursing System Experiments
14th International Conference on Cancer Nursing , 196-197  (2006)
原著論文15
A. Okawa、T. Umeda、K. Onishi
Development of the Remote Nursing Support System in an Outpatient's Chemotherapy
14th International Conference on Cancer Nursing , 197-  (2006)
原著論文16
橋口修卓、梅田徳男、大川明子、他
訪問看護支援システムの構築-訪問看護記録書作成システムを中心として-
第11回日本看護研究学会東海地方会 , 21-  (2007)

公開日・更新日

公開日
2018-06-08
更新日
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