諸外国における院内感染対策の応用に関する研究

文献情報

文献番号
200634015A
報告書区分
総括
研究課題名
諸外国における院内感染対策の応用に関する研究
課題番号
H16-医療-一般-016
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
芳賀 克夫(国立病院機構熊本医療センター 外科)
研究分担者(所属機関)
  • 前田 健晴(国立病院機構熊本医療センター 外科)
  • 木村 修(国立病院機構米子医療センター 外科)
  • 竹内 仁司(国立病院機構岩国医療センター 外科)
  • 古谷 卓三(国立病院機構関門医療センター 外科)
  • 洲之内 廣紀(河北総合病院 外科)
  • 木村 正美(健康保険人吉総合病院 外科)
  • 石川 正志(徳島赤十字病院 外科)
  • 針原 康(NTT東日本関東病院 外科)
  • 木山 輝郎(日本医科大学第一外科)
  • 草地 信也(東邦大学医学部付属大橋病院第三外科)
  • 松井 邦彦(熊本大学医学部附属病院総合臨床研修センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
手術部位感染症(SSI)は、患者に多大な苦痛を与えるのみだけでなく、在院日数を延長させ、医療コストも増加させる。SSIをいかに制御するかは外科医のみならず、病院にとって重大な命題である。今回我々は、予定消化器外科手術でSSIの発生を予測する式を多変量解析にて開発したので報告する。
研究方法
対象は、地域中核病院12施設で行った予定消化器外科手術2,874例である。これらの患者で23項目の患者要因と4項目の手術要因、SSI発生の有無、術後在院日数、在院死亡の有無を前向きに調査した。SSIの危険因子の解析及びSSIの予測式の開発は、二項ロジスティック回帰分析で行った。このモデルの適合度および精度は、各々Hosmer-Lemeshow検定、ROC曲線下面積で検定した。
結果と考察
今回の解析から、腹水の性状、手術切開創の範囲、大腸切除、手術時間、出血量がSSIの有意な危険因子であることが判明した。さらに、これらの因子にPerformance statusを加えた6つの変数から成るSSIの予測式を得た。この予測式の精度は、Hosmer-Lemeshow検定でP=0.725と良好な適合度を示した。また、ROC曲線下面積(95%信頼区間)は0.749(0.722-0.775)で、中等度の判別能を示した。予測SSI率が上昇するにつれ、実SSI発生率及び術後在院日数、在院死亡率は上昇した(実SSI発生率R=0.974, N=10, P<0.0001; 在院日数R=0.933, N=10, P<0.0001; 在院死亡率R=0.931, N=10, P<0.0001)。さらに、術式別に予測SSI率と実SSI率を比較すると、両者は有意な正の相関を示した(R=0.925, N=13, P<0.0001)。
結論
我々が開発したSSIの予測式は信頼性が高く、これを用いると手術直後にSSIの発生率を予測できる。また、各病院のSSI発生率をリスク調整することにより、当該病院の技術水準を評価することも可能であろう。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

文献情報

文献番号
200634015B
報告書区分
総合
研究課題名
諸外国における院内感染対策の応用に関する研究
課題番号
H16-医療-一般-016
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
芳賀 克夫(国立病院機構熊本医療センター 外科)
研究分担者(所属機関)
  • 前田 健晴(国立病院機構熊本医療センター 外科)
  • 木村 修(国立病院機構米子医療センター 外科)
  • 竹内 仁司(国立病院機構岩国医療センター 外科)
  • 古谷 卓三(国立病院機構関門医療センター 外科)
  • 洲之内 廣紀(河北総合病院 外科)
  • 木村 正美(健康保険人吉総合病院 外科)
  • 石川 正志(徳島赤十字病院 外科)
  • 針原 康(NTT東日本関東病院 外科)
  • 木山 輝郎(日本医科大学第一外科)
  • 草地 信也(東邦大学医学部付属大橋病院第三外科)
  • 松井 邦彦(熊本大学医学部附属病院総合臨床研修センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血管内留置カテーテルは、末梢静脈カテーテル、中間カテーテル、中心静脈カテーテル、末梢動脈カテーテル、肺動脈カテーテルなどを含み、患者に薬剤を投与するルート、もしくは、患者のバイタルサインを測定する方法として、臨床現場で最も多く用いられている医療材料である。血管内カテーテルの有用性は言うまでもないが、これらはあくまで患者にとっては異物であり、適切な管理を怠ると感染の原因となる。特に、血管内カテーテル関連血流感染は、患者に重大な影響を及ばすので注意が必要である。米国の疾病管理予防センター(CDC)では、2002年に「血管内留置カテーテルに関連する感染予防のガイドライン」を発表し、多くの国で参考にされている。しかし、その後4年以上経過するが、改訂はなされていない。今回、本研究班ではこのガイドラインを基に、さらに2000年以降の文献を検索・収集し、evidenceを検討したので、報告する。
研究方法
血管留置カテーテル関連感染に関する2000年~2007年の国内外の文献を収集し、批判的吟味を行った。Evidenceの水準は、CDCのガイドラインに従って分類した。CDCガイドラインの項目ごとに新しいevidenceを加え、本稿をまとめた。
結果と考察
新たに得られたevidenceとしては、以下のものがある。
1) ニードルレス血管内カテーテルシステム(ニードルレスコネクター)は、従来の血管内カテーテルシステム(コネクター)に比べ、カテーテル関連血流感染のリスクを減少させる(カテゴリーII)。
2) 血管カテーテル挿入前の皮膚消毒には、10%ポビドンヨード(1分)、その後、0.5%クロールヘキシジンアルコール(70%)(1分)を用いるのが望ましいが、10%ポビドンヨード(2分)を使用しても差支えない(カテゴリー1A)。
結論
本研究はカテーテル関連感染症予防のための新たなevidenceを医療従事者に提供し、カテーテル関連感染症の減少に寄与できると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200634015C