救急救命士に対する効果的な気管挿管教育法とマルチメディア教材の開発

文献情報

文献番号
200634014A
報告書区分
総括
研究課題名
救急救命士に対する効果的な気管挿管教育法とマルチメディア教材の開発
課題番号
H16-医療-一般-015
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
田中 秀治(国士舘大学体育学部スポーツ医科学科)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
2,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

文献情報

文献番号
200634014B
報告書区分
総合
研究課題名
救急救命士に対する効果的な気管挿管教育法とマルチメディア教材の開発
課題番号
H16-医療-一般-015
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
田中 秀治(国士舘大学体育学部スポーツ医科学科)
研究分担者(所属機関)
  • 安田康晴(国士舘大学体育学部スポーツ医科学科)
  • 張替喜世一(国士舘大学体育学部スポーツ医科学科)
  • 島崎栄二(国士舘大学体育学部スポーツ医科学科)
  • 徳永尊彦(救急救命東京研修所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成16年7月1日から救急救命士に気管挿管の実施が許可されました。ただし救急救命士の気管挿管実施には62時間の座学・実習と病院内の30例の追加講習・実習を受講しなければならず、この62時間の座学カリキュラムが厚生労働省より提示されましたが、その実施においては各施設・各県消防学校に任されています。
 このような高度医療技術を教育・指導する人的・物的資源は十分でありません。気管挿管や薬剤投与の教育プログラムは、MC教育に携わる医師や救急救命士への指導者が統一した教育が行えるような指導教材の開発が急がれます。
研究方法
本研究では、全国の救急救命士教育に携わる医師、救急救命士、看護師などが、統一された気管挿管教育を実践できる教育機材と教育手法を開発することを目的とし実施されました。
 平成16年度にはE-LEARNING教材によるデモ動画・講義・テスト・インストラクション用ハンドアウト・シナリオ集の作成を行いました。さらに、これらの教材を全国の救急救命士養成施設・消防学校などに配布しました。平成17年度にはこれらの教材を用いた具体的な指導法を指導側となるMC医師や救急救命士を対象として講習会を数回、実施しました。また、この講習会を実施する母体とpして、プレホスピタル救急医学教育研究会を立ち上げ、気管挿管・薬剤投与を主体としたスキルベーストレーニングを開発し、平成18年までにスキルアップセミナーを5回開催しました。平成18年度の本研究ではこれらの教材の教育的効果の検証をとくに多角的に行いました。
結果と考察
 研究で作成したデモ動画・講義・テスト・インストラクション用ハンドアウト・シナリオ集は出版物やDVD教育教材として救急救命士養成施設・消防学校など希望する場所に配布し好評でした。
また、これらの教材を用いた具体的な指導法をセミナーで形式で実施しました。最終年度で教材の教育的効果の検証を行いました。その結果、全国での気管挿管おこなった非心原性心停止症例において、統計学的に有意に生存率の改善を見ました。
結論
教育体制の整備こそ、病院前救急医療体制の要です。われわれの最終年度の研究の中で、問題となっている薬剤投与の病院実習のあり方を検討し、今日の病院実習の新たなガイドライン案を作成し提言をこころみました。この提言が単に研究で終わらずに、全国の救急隊員が行う病院実習に反映されることをのぞみます。この研究を行った3年間において、救急救命士の処置拡大、とくに気管挿管・薬剤投与についての教育体体制の確立と普及法について、微力ではありますが研究による効果が得られたと結論できます。

公開日・更新日

公開日
2018-06-26
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200634014C

成果

専門的・学術的観点からの成果
今回、平成16年より始まった救急救命士による気管挿管や薬剤投与といった高度な医学的処置の教育プログラムを全国で実施展開するにあたり、研究で作成した学習効果のe-leaning教材とDVD教育プログラムを提供したことで教育の質を費用対効果の高い教育を行うことができた。またこれらの教材は教育の質を低下することがなくその負担を軽減できることが示唆された。今後も救急救命士ののみならず、研修医や看護師の高度医学教育には今回開発した総合教育ツールを使用することが可能と考えた。
臨床的観点からの成果
今回の研究の目的は教育内容の改善であり、アウトカム指標として臨床的効果の改善とするには多くの原因の鑑別を行わなければならない。しかし、平成17年一年間に集積された心肺停止傷病者のうち、非心原性心停止症例において、気管挿管例の生存率の有意な改善がみとめられた。当初心配されたような、挿管による事故は、一例もおきておらず、本研究が救急救命士の気管挿管の成績改善に一役買ったと考える。
ガイドライン等の開発
18年度の研究の中では、現在問題となっている救急救命士の病院実習のあり方についても検討した。医療従事者の病院実習のあり方については、多くの問題がある。とくに実際の実後を重視する救急救命士場合には、従来の病院実習では十分とはいえない。そこで、新たな病院実習ガイドライン案を作成し提言をこころみた。
その他行政的観点からの成果
審議会に参考とされたことはない
行政施策については、本研究が行政の施策を補助し肉付けするものであった。行政施策の一環としておこなわれた救急救命士の気管挿管・薬剤投与が順調に全国で増えている状況(気管挿管認定が4000名以上、薬剤投与認定が3000名以上)を考えると、かなりの効果があったと考えられる。
その他のインパクト
本研究の成果物はさらに内容をブラッシュアップし
1)専門雑誌への投稿 2)教育用DVDとして出版 3)消防学校へ成果物として配布をおこなった。さらに公開シンポジウムとして5回のセミナーを開催し(日本救急医療財団の補助もうけて)これまでに1000名以上の地域MC医師や救急救命士の気管挿管・薬剤投与教育の質の改善に結びついたものと考えている。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
12件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
3件
その他成果(普及・啓発活動)
5件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2018-06-26
更新日
-