救急医の養成と確保法についての研究

文献情報

文献番号
200634012A
報告書区分
総括
研究課題名
救急医の養成と確保法についての研究
課題番号
H16-医療-一般-013
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
杉本 壽(大阪大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 嶋津 岳士(大阪大学大学院医学系研究科 )
  • 田中 裕(大阪大学大学院医学系研究科 )
  • 島崎 修次(杏林大学医学部)
  • 行岡 哲男(東京医科大学)
  • 寺井 親則(宮崎大学医学部)
  • 坂野 勉(島根大学医学部)
  • 木下 順弘(熊本大学医学薬学研究部)
  • 平出 敦(京都大学医学研究科)
  • 八木 啓一(鳥取大学医学部)
  • 池上 敬一(獨協医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、医の原点、根源的医療である救急医療で中心的な役割を果たす救急医を養成・確保するための具体的な方策を提案することにある。
研究方法
研究班ならびに研究協力者による研究班会議による討議、インターネットを通じた公開の意見交換、第33回日本救急医学会学術総会における3日間連日述べ12時間に及ぶシリーズ・ワークショップでの意見集約を行った。主な検討項目は次の6項目である。
1) 救急医療の枠組み
2) 救急医療教育
3) 救急医の役割
4) 救急医療の採算性
5) 救急医の労働条件
6) 地域における救急医療の評価
結果と考察
1)可能な救命救急センターがER機能を兼ねるのは望ましいが、現行の症度別救急医療提供体制は機能している。脊髄損傷、広範囲熱傷の専門センターを設置し診療・研究・教育の拠点とする。高次救急施設からの後送病床の確保策が必要。2)救急科専門医による研修医指導を卒後臨床研修指定の必須条件にする。麻酔科ではなく救急研修であることを明記する。さらに、救急研修期間を理想的には1年間、最低でも6ヵ月間に延長する。3)救急医の役割は、救急診療、救急医療の質管理、救急医学教育、危機管理、災害医療など広い範囲にわたる。救急医は、急性病態のcritical careとERにおけるtriageの両方も精通すべし。4)救急医療の不採算性を解消し、公私の医療機関の参入を促す。勤務医師不足による病院の救急医療から撤退を阻止することが急務。医師確保の最大の切り札は待遇の改善であり、救急医療の採算性を飛躍的に改善すべし。5)労働基準法を遵守し救急医の労働時間を週40時間、連続勤務12時間以内に徹底する。超過勤務は週20時間以内、正当な報酬を支払う。当直制ではなく交代勤務制を、主治医制に代わりチーム制を導入すべし。On-Offの切り替えと効率化が得られる。6)MC協議会やウツタイン集計を用いて地域の病院前救護を評価し、質の維持・向上を図る。病院評価は、一律の数値基準ではなく、地域の救急医療におけるそれぞれの病院の役割に基づいて個別に評価する。地域救急医療協議会〔仮〕を設置し、検証を行う制度を設ける。
結論
救急医を養成・確保するには医師の社会的役割や遣り甲斐などの精神論だけでは足りず、救急医の労働環境や待遇を改善することが不可欠である。今回の報告書が指摘・提案した事柄が実現すれば、救急医を志す多くの有為の医師に勇気を与え、彼らが心置きなく救急医療に参入することが手助けするであろう。

公開日・更新日

公開日
2008-04-03
更新日
-

文献情報

文献番号
200634012B
報告書区分
総合
研究課題名
救急医の養成と確保法についての研究
課題番号
H16-医療-一般-013
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
杉本 壽(大阪大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 嶋津 岳士(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 田中 裕(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 島崎 修次(杏林大学医学部)
  • 行岡 哲男(東京医科大学)
  • 寺井 親則(宮崎大学医学部)
  • 坂野 勉(島根大学医学部)
  • 木下 順弘(熊本大学医学薬学研究部)
  • 平出 敦(京都大学医学研究科)
  • 八木 啓一(鳥取大学医学部)
  • 池上 敬一(獨協医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、医の原点、根源的医療である救急医療で中心的な役割を果たす救急医を養成・確保するための具体的な方策を提案することにある。
研究方法
研究班ならびに研究協力者による研究班会議による討議、インターネットを通じた公開の意見交換、第33回日本救急医学会学術総会における3日間連日述べ12時間に及ぶシリーズ・ワークショップでの意見集約を行った。主な検討項目は次の6項目である。
1) 救急医療の枠組み
2) 救急医療教育
3) 救急医の役割
4) 救急医療の採算性
5) 救急医の労働条件
6) 地域における救急医療の評価
結果と考察
1)可能な救命救急センターがER機能を兼ねるのは望ましいが、現行の症度別救急医療提供体制は機能している。脊髄損傷、広範囲熱傷の専門センターを設置し診療・研究・教育の拠点とする。高次救急施設からの後送病床の確保策が必要。
2)救急科専門医による研修医指導を卒後臨床研修指定の必須条件にする。麻酔科ではなく救急研修であることを明記する。さらに、救急研修期間を理想的には1年間、最低でも6ヵ月間に延長する。
3)救急医医の役割は、救急診療、救急医療の質管理、救急医学教育、危機管理、災害医療など広い範囲にわたる。救急医は、急性病態のcritical careとERにおけるtriageの両方も精通すべし。
4)救急医療の不採算性を解消し、公私の医療機関の参入を促す。勤務医師不足による病院の救急医療から撤退を阻止することが急務。医師確保の最大の切り札は待遇の改善であり、救急医療の採算性を飛躍的に改善すべし。
5)労働基準法を遵守し救急医の労働時間を週40時間、連続勤務12時間以内に徹底する。超過勤務は週20時間以内、正当な報酬を支払う。当直制ではなく交代勤務制を、主治医制に代わりチーム制を導入すべし。On-Offの切り替えと効率化が得られる。
6)MC協議会やウツタイン集計を用いて地域の病院前救護を評価し、質の維持・向上を図る。病院評価は、一律の数値基準ではなく、地域の救急医療におけるそれぞれの病院の役割に基づいて個別に評価する。地域救急医療協議会〔仮〕を設置し、検証を行う制度を設ける。
結論
救急医を養成・確保するには医師の社会的役割や遣り甲斐などの精神論だけでは足りず、救急医の労働環境や待遇を改善することが不可欠である。今回の報告書が指摘・提案した事柄が実現すれば、救急医を志す多くの有為の医師に勇気を与え、彼らが心置きなく救急医療に参入することができる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-03
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200634012C