救急医療評価スタンダードとスコアリングガイドラインを利用したベンチマーキングに関する研究

文献情報

文献番号
200634011A
報告書区分
総括
研究課題名
救急医療評価スタンダードとスコアリングガイドラインを利用したベンチマーキングに関する研究
課題番号
H16-医療-一般-012
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
坂本 哲也(帝京大学医学部救命救急センター)
研究分担者(所属機関)
  • 郡司 篤晃(聖学院大学総合研究所 医療管理学)
  • 有賀 徹(昭和大学医学部 救急医学)
  • 堀 進悟(慶応義塾大学医学部 救急医学)
  • 箕輪 良行(聖マリアンナ医科大学 救急医学)
  • 石原 哲(白鬚橋病院 医療管理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 平成17年の救急搬送患者数は495万8千人であり、この内、軽症が52.1%、中等症が36.6%と合計で約90%を占め、それらの多くが搬送される二次救急医療機関の救急医療の質を評価することは極めて重要である。また、救急搬送患者の原因疾患は、急病が60.0%と過半数を占め、交通事故または一般負傷を合わせた25.4%の2倍以上となっている。国民の高齢化などにより疾病構造が変化し、救急医療の需要が質、量ともに変化しつつあることを鑑みて、将来を見通した救急医療体制の今後のあり方、とりわけ二次救急医療機関と救命救急センターの役割について、及びそれに基づく新たな評価基準について検討した。
研究方法
 救急医療に関する需要と救急科専門医や医療施設などの人的物的資源に基づいて前年度に策定された救命救急センターの新たな評価基準案について、専門家による検討会を開催し、より具体的な内容を検討した。特に地域における救急医療機関の連携に重点を置き、救命救急センターが必要となる疾患および病態を抽出した。また、日本外傷データバンクを用いて外傷症例を登録・分析して重症外傷患者の疫学的調査を行い、救急医療機関への集約についても検討した。
結果と考察
 質の高い救急医療を提供していくため、一定数以上の重症患者を集約することを前提とし、重症度・緊急度によって医療機関が選択できる救急医療体制の構築が必要である。救命救急センターにおける診療が必要となるのは、重症の急性冠症候群、脳血管障害、外傷・熱傷、急性中毒などの重症疾患に加えて、疾患名に関わらず呼吸不全、心不全、意識障害、肝不全、腎不全などの重症病態を呈する患者であった。日本外傷データバンクには、平成19年3月末の時点で78施設が参画し、2004年患者からの合計症例数は15,194例となった。平成18年の登録外傷患者4,122例中3,961例(96%)が年間症例数50例以上の上位26施設に集約されていた。
結論
 地域救急医療体制の中核を担うべき救命救急センターの新たな評価基準では、救命救急センター内で行われる診療のみを評価するのではなく、救命救急センターを有する医療機関において全診療科の協力の下で、どのように重症救急患者に医療が提供されているのかという診療の過程と結果を評価していくことが重要である。同時に救命救急センターは地域救急医療体制において救急医療機関の連携の要となる必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200634011B
報告書区分
総合
研究課題名
救急医療評価スタンダードとスコアリングガイドラインを利用したベンチマーキングに関する研究
課題番号
H16-医療-一般-012
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
坂本 哲也(帝京大学医学部救命救急センター)
研究分担者(所属機関)
  • 郡司 篤晃(聖学院大学総合研究所 医療管理学)
  • 有賀 徹(昭和大学医学部 救急医学)
  • 堀 進悟(慶応義塾大学医学部 救急医学)
  • 箕輪 良行(聖マリアンナ医科大学 救急医学)
  • 石原 哲(白鬚橋病院 医療管理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 国民の高齢化などにより疾病構造が変化し、救急医療の需要が質、量ともに変化しつつあることを鑑みて、将来を見通した救急医療体制の今後のあり方、とりわけ二次救急医療機関と救命救急センターの役割について、及びそれに基づく新たな評価基準について検討した。
研究方法
 専門家による検討会を開催し、救急医療に関する需要と救急科専門医や医療施設などの人的物的資源に基づいた救命救急センターの新たな評価基準案を策定した。特に地域における救急医療機関の連携に重点を置き、救命救急センターが必要となる疾患および病態を抽出した。また、日本外傷データバンクを用いて外傷症例を登録・分析して重症外傷患者の疫学的調査を行った。外傷登録に必須のAIS (Abbreviated Injury Scale)が AIS 90 update 98からAIS 2005へと改訂されたのを受けて、AISに関する指導者講習と講演会を行った。外傷手術の標準化を目指した手術手技トレーニングコースの確立を目指して豚を使ったモデルコースを実施した。
結果と考察
 質の高い救急医療を提供していくため、一定数以上の重症患者を集約することを前提とし、重症度・緊急度によって医療機関が選択できる救急医療体制の構築が必要である。救命救急センターにおける診療が必要となるのは、重症の急性冠症候群、脳血管障害、外傷・熱傷、急性中毒などの重症疾患に加えて、疾患名に関わらず呼吸不全、心不全、意識障害、肝不全、腎不全などの重症病態を呈する患者であった。日本外傷データバンクには、平成19年3月末の時点で78施設が参画し、2004年患者からの合計症例数は15,194例となった。平成18年の登録外傷患者4,122例中3,961例(96%)が年間症例数50例以上の上位26施設に集約されていた。
結論
 長期的に継続可能な救急医療体制として、交代勤務制などへと労働環境を改善した上で、救急科専門医の役割を明確にして、その確保が必要となる。地域救急医療体制の中核を担うべき救命救急センターの新たな評価基準では、救命救急センター内で行われる診療のみを評価するのではなく、救命救急センターを有する医療機関において全診療科の協力の下で、どのように重症救急患者に医療が提供されているのかという診療の過程と結果を評価していくことが重要である。同時に救命救急センターは地域救急医療体制において救急医療機関の連携の要となる必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200634011C