文献情報
文献番号
200614006A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV融合過程を標的とする耐性克服型新規治療薬の開発
課題番号
H16-創薬-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
松岡 雅雄(京都大学ウイルス研究所感染免疫研究領域)
研究分担者(所属機関)
- 藤井 信孝(京都大学大学院薬学研究科)
- 児玉 栄一(京都大学ウイルス研究所感染免疫研究領域)
- 大石 真也(京都大学大学院薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
45,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
多剤併用療法はヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症をコントロール可能としたが、依然HIVの駆逐は不可能であり耐性獲得は治療上大きな脅威である。最近、臨床応用されたHIV外皮蛋白質gp41に由来するペプチド製剤T-20は高価であり、より安価で強い活性を持つペプチドの開発が必要である。また経口投与可能な融合阻害活性を有する小分子化合物の開発は最重要課題である。
研究方法
1)耐性変異を有するウイルスを構築し、その機序を解析した。
2)薬剤感受性試験はMAGI法あるいはp24の定量を用いて解析した。
3)C34誘導体およびT20誘導体をはじめとするペプチドは、Fmoc固相合成法の常法によって合成した。
2)薬剤感受性試験はMAGI法あるいはp24の定量を用いて解析した。
3)C34誘導体およびT20誘導体をはじめとするペプチドは、Fmoc固相合成法の常法によって合成した。
結果と考察
1)新規融合阻害ペプチドT-20EKの創出と抗HIV効果
EK置換をT-20に導入することによりT-20が水溶性になると共に抗HIV活性も約5倍上昇し耐性HIVにも有効であった。機序としてαヘリックス性が上昇していることを確認した。
2)SC34EKの低分子化・非ペプチド化
C末側5残基を欠失させたSC29EKの抗HIV効果はSC34EKと同等に強い活性を維持していた。研究グループではSC35EKおよびT-20EKに共通して存在するX-EE-XX-KKモチーフのLys-Lysに相当するフルオロアルケン型ジペプチドイソスターの合成を行った。
3)N36に対する耐性機構
N36耐性ウイルスを誘導した。gp120領域にP183Q、gp41領域にD36G/N126K/E137Qの変異が導入されていることを明らかにした。変異を有する感染性クローンウイルスを検討し、N126KとE137Kが各々3倍程度の耐性を付与していた。
4) 低分子融合阻害剤の開発
respiratory syncytial virusの膜融合阻害剤がインドールもしくはベンズイミダゾール骨格を有する低分子化合物であることに着目し、これらの骨格を有する化合物118種類について抗HIV活性を検討した。抗HIV活性を示した化合物の共通骨格がインドールであったことから、関連誘導体への合成展開に向けて、効率的なインドール誘導体合成法の確立に取り組んだ。
EK置換をT-20に導入することによりT-20が水溶性になると共に抗HIV活性も約5倍上昇し耐性HIVにも有効であった。機序としてαヘリックス性が上昇していることを確認した。
2)SC34EKの低分子化・非ペプチド化
C末側5残基を欠失させたSC29EKの抗HIV効果はSC34EKと同等に強い活性を維持していた。研究グループではSC35EKおよびT-20EKに共通して存在するX-EE-XX-KKモチーフのLys-Lysに相当するフルオロアルケン型ジペプチドイソスターの合成を行った。
3)N36に対する耐性機構
N36耐性ウイルスを誘導した。gp120領域にP183Q、gp41領域にD36G/N126K/E137Qの変異が導入されていることを明らかにした。変異を有する感染性クローンウイルスを検討し、N126KとE137Kが各々3倍程度の耐性を付与していた。
4) 低分子融合阻害剤の開発
respiratory syncytial virusの膜融合阻害剤がインドールもしくはベンズイミダゾール骨格を有する低分子化合物であることに着目し、これらの骨格を有する化合物118種類について抗HIV活性を検討した。抗HIV活性を示した化合物の共通骨格がインドールであったことから、関連誘導体への合成展開に向けて、効率的なインドール誘導体合成法の確立に取り組んだ。
結論
今年度の研究から耐性機構の解析から合成への情報フィードバックにより、より強力で耐性ウイルスにも有効な融合阻害剤が開発できたと共に、新規抗HIV剤開発の戦略が確立された。
公開日・更新日
公開日
2007-04-06
更新日
-