今後の市町村における地域歯科保健推進に関する総合的研究

文献情報

文献番号
199700246A
報告書区分
総括
研究課題名
今後の市町村における地域歯科保健推進に関する総合的研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
宮武 光吉(東京歯科大学)
研究分担者(所属機関)
  • 丹羽源男(日本歯科大学歯学部)
  • 安井利一(明海大学歯学部)
  • 尾崎哲則(日本大学歯学部)
  • 福田雅臣(日本歯科大学歯学部)
  • 高久悟(埼玉県立衛生短期大学)
  • 青山旬(国立公衆衛生院疫学部)
  • 長田斎(東京都衛生局医療計画部)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 保健医療福祉地域総合調査研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
6,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成9年4月からの地域保健法全面施行に伴い、歯科保健サービスは原則的に市町村において実施されることとなった。そこで、各市町村における歯科保健サービスの質的・量的評価を実施し、住民のニーズ等に適応した生涯にわたる歯科保健サービスが展開されているかどうかを評価することが必要であり、これらの方法を検討し、実際にその適合性をみることを目的として本研究を実施した。
研究方法
全国の市区町村3,255のうち保健所設置市35、特別区23を除く市町村を対象として、平成8年度における歯科保健事業の実態を都道府県歯科保健担当課を経由して郵送法による質問紙調査を行った。調査項目は、人口・保健センター(類似施設を含む)の有無と口腔保健室の有無および今後の整備計画・歯科衛生士の配置の有無および採用予定・各種保健事業の実施状況等であり、各種歯科保健事業の実施に関連のある市町村保健センターおよび口腔保健室設置の有無等について要因解析を行った。
結果と考察
市町村保健センターおよび口腔保健室の設置状況についての調査により、市町村保健センターに口腔保健室の整備が近年になって進展していることが認められた。市町村保健センター口腔保健室の設置の有無による歯科保健事業の内容を検討した結果、口腔保健室の設置により、歯科保健事業実施率が高くなっていることが認められた。市町村保健センターにおける歯科専門職である歯科衛生士の配置状況についてみると、口腔保健室と同様に事業の実施率が高い。市町村における歯科保健事業と社会・経済的な諸要因との関連について分析したところ、乳幼児に対する歯科保健事業は、年少人口比率の高い市町村ほど実施率も高かったのに対して、老人歯科保健事業では高齢化率の高い市町村ほど実施率が低いことが明らかにされた。市町村決算額や1人平均民力水準についてみると、乳幼児歯科保健事業では実施率との間に相関性は認められなかったが、老人歯科保健事業の実施率との間には正の相関関係がみられた。口腔保健室は各種歯科保健事業の拠点施設となっていると考えられた。口腔保健室を設置しかつ歯科衛生士が配置されている市町村では歯科保健事業の充実が図られていることが明らかにされ、両者の設置または配置が今後必要であると考えられる。今後の口腔保健室の整備計画が少ないことから、これらの自治体に対する支援等を講じることが必要であると考えられる。乳幼児に対する歯科保健事業は、年少人口比率に比例して実施率が高いが、老人歯科保健事業では、高齢者の比率の高い市町村ほど実施率が低いという結果から、今後の市町村における歯科保健事業を実施するに当っては、基盤整備をすすめるとともに、都道府県、保健所の支援が不可欠であると考えられる。
結論
市町村における歯科保健事業の推進のためには、施設として市町村保健センターの口腔保健室の整備と要員として歯科衛生士の配置が必要であり、これらの施策の推進とともに、事業実施のための基盤整備をすすめることが、今後の市町村における歯科保健事業の充実に必要な条件である。

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