パーキンソン病および関連神経変性疾患の生前同意に基づく脳バンクの構築に関する研究

文献情報

文献番号
200633058A
報告書区分
総括
研究課題名
パーキンソン病および関連神経変性疾患の生前同意に基づく脳バンクの構築に関する研究
課題番号
H18-難治-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
久野 貞子(国立精神・神経センター武蔵病院)
研究分担者(所属機関)
  • 森 秀生(順天堂大学医学部)
  • 有馬 邦正(国立精神・神経センター武蔵病院)
  • 村山 繁雄(東京都老人医学総合研究所)
  • 佐藤 啓造(昭和大学医学部)
  • 河原 直人(早稲田大学先端科学・健康医療融合研究機構生命医療工学研究所)
  • 塚本 忠(国立精神・神経センター武蔵病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
パーキンソン病などの神経疾患の病態解明には死後脳が必須であるが、日本では脳バンクの構築が遅れている。「自分の死後に脳を研究の為に寄贈する意志を登録すること」(献脳の生前同意登録制)は欧米では脳バンク運営の基礎である。日本で生前同意登録制脳バンクのシステムを構築し患者家族会などと協力して登録を推進する。本研究が軌道にのれば、研究試料が入手可能となり、この分野の研究の飛躍的な発展が期待される。
研究方法
生前同意登録、臨床情報の収集、病理解剖の実施、脳バンク検体の保存、検体の研究使用などの全ての場面で、死体解剖保存法、病理解剖指針、各種倫理指針、医学研究に関する基本的倫理原則などの遵守を最優先するようシステムを構築する。
1.献脳生前同意登録事務局を開設し、運営委員会、献脳同意登録受付、献脳同意登録コーディネーター、などを組織する。
2.脳バンクの生前同意登録パンフレットを作成し普及啓発活動を行う。
3.登録希望者にはコーディネーターが十分に説明し、生前同意登録を受け付ける。
4.登録者の死亡時は、臨床担当医師が死亡診断書を発行する。その後、遺族が事務局に連絡し、コーディネーターが病理解剖実施まで調整する。病理解剖は死体解剖保存法に従い、遺族の同意により実施する。
5.病理解剖により得られた脳組織は共通のプロトコールで凍結保存し、検体データベースで一括管理し、医学研究使用に提供する。
結果と考察
平成18年度は、パーキンソン病脳バンクの中心となるシステムを構築した。生前同意登録システムの根幹である、登録者のためのインフォームド・コンセント書式を作成し国立精神・神経センター倫理委員会の承認を得、登録者データベースを構築した。また、解剖と病理検体の保存のための協力病院を設定し脳保存庫(パーキンソン病脳デポジトリー)を設置した。剖検検体を研究に使用するためのご遺族向けのインフォームド・コンセント書式を作成し、国立精神・神経センター倫理委員会の承認を得た。市民講演会などの普及活動を開始した。
結論
パーキンソン病脳バンクの生前同意登録制度を構築した。生前同意登録は欧米に10年以上遅れてはいるが、日本で大規模に実施するのは始めてである。現行法及び倫理指針等を遵守をして堅実に活動を進める必要がある。

公開日・更新日

公開日
2007-09-21
更新日
-