難治性疾患による涙腺の障害に対する新規治療法の開発

文献情報

文献番号
200633053A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性疾患による涙腺の障害に対する新規治療法の開発
課題番号
H17-難治-一般-045
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
坪田 一男(慶應義塾大学医学部眼科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 後藤 英樹(鶴見大学歯学部眼科学講座)
  • 斎藤 一郎(鶴見大学歯学部口腔病理学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難治性疾患であるスティーブン・ジョンソン症候群やシェーグレン症候群などにより消失または著しく障害された涙腺の分泌機能を回復するために再生医療を応用することが本研究の目的である。これまでの検討により、SP細胞を用いた細胞治療が涙液分泌障害の治療法として奏効する可能性が明らかとなり、加えて、SP細胞に高い発現を示すクラステリンが活性酸素種による細胞障害を抑制することが示された。本研究ではクラステリンの臨床応用の可能性について検討している。
研究方法
1. バキュロウイルス-昆虫細胞系を用いたクラステリン組み換え蛋白作製
2. in vitroにおける組み換えクラステリン蛋白の機能解析
3. in vivo におけるクラステリン蛋白の機能解析
結果と考察
精製後のクラステリン蛋白は、Western blotting 法 により予測されるアミノ酸配列よりも分子量が明らかに増加していることが確認され、糖鎖付加の可能性が示唆された。また、2ME処理による還元状態において、その分子量の低下が認められたので、ジスルフィド結合を介したヘテロダイマー形成が確認された。従って、精製されたクラステリンの大部分は分泌型であることが確認できた。さらに、分泌型のクラステリン蛋白が過酸化水素刺激による細胞障害を抑制する機能を有していることが明らかになったことは、本蛋白の臨床応用の可能性を示唆したものとして有用と考えられた。このことを検証する目的で、本研究では紫外線照射角膜障害モデルラットを作製した。角膜障害モデルの利点としては蛍光色素を応用することにより、障害の可視化が容易であることや、点眼によるクラステリン蛋白の直接的な治療効果の判定が可能であることがあげられる。今後本モデルラットを用いてクラステリンの治療効果の有無を明らかにする予定である。
結論
バキュロウイルス-昆虫細胞系で作製された組み換えクラステリン蛋白には酸化ストレスを介した細胞障害抑制効果が認められることが明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
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