新たな診断・治療法開発のための免疫学的手法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200633046A
報告書区分
総括
研究課題名
新たな診断・治療法開発のための免疫学的手法の開発に関する研究
課題番号
H17-難治-一般-037
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
住田 孝之(筑波大学大学院人間総合科学研究科先端応用医学専攻臨床免疫学)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 一彦(東京大学大学院医学系研究科内科学専攻アレルギーリウマチ学)
  • 小池 隆夫(北海道大学大学院医学研究科病態内科学講座・第二内科)
  • 三森 経世(京都大学大学院医学研究科臨床免疫学)
  • 千住 覚(熊本大学大学院医学薬学研究部免疫識別学分野)
  • 山村 隆(国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第六部)
  • 上阪 等(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科膠原病・リウマチ内科学)
  • 松本 功(筑波大学大学院人間総合科学研究科先端応用医学専攻臨床免疫学)
  • 桑名 正隆(慶応義塾大学医学部内科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
46,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
免疫難病発症の分子機構について分子免疫学的なアプローチにより解明し、サイエンスに基づく特異的治療を開発する。抗原特異的な制御方法をめざすため、自己抗原、B細胞およびT細胞の抗原受容体、抗原提示細胞上の主要組織適合抗原が主要なターゲット分子となる。
研究方法
(1)コラーゲン誘導関節炎モデルマウス(CIA)、GPI誘導関節炎モデルマウスM3R誘導唾液腺炎モデルマウスを作成し、CII、GPI、M3Rのアナログペプチドによる関節炎制御に関する研究を進めた。
(2)ES細胞に抗原分子と制御分子(TRAIL)を遺伝子導入した後に樹上細胞に分化させ(ES-DC)、マウスに細胞移入してEAEに対する効果を検定した。
(3)関節浸潤T細胞のTCRをin vitroで再構築し、さらに制御分子を遺伝子導入する戦略によりCIAに対する治療効果を検定した。
(4)第二のNKT細胞であるヒトTCRVα7.2Jα33+NKT細胞株を樹立して、in vitroにおけるサイトカイン産生を検討した。マウスTCRVα19Jα33+NKT細胞によるサイトカイン産生も検討した。
結果と考察
(1)CIAモデルマウスにおいては、CII262G→AおよびCII264K→Aがアナログペプチドの候補として選定された。前者は関節炎の治療・予防効果を、後者は予防効果を示した。動物モデルを用いた基盤研究の成果をもとにclinical trialに進む予定である。
(2)1 EAEの発症を抗原特異的に抑制および治療することができ、その機序はTreg細胞を介していることが判明した。抗原提示細胞の遺伝的改変による抗原特異的制御が可能であることが示唆された。
(3) CIAを特異的に抑制することができたことから、遺伝子発現情報に基づいた抗原特異的治療応用の発展が期待される。
(4)第二のNKT細胞はin vitro, in vivoにおいてともにTh2細胞に偏倚することができた。Th1細胞が病因となっているヒト自己免疫疾患の治療応用が期待される。
結論
自己反応性T細胞のアナログペプチドによる制御、抗原提示細胞の遺伝子操作による調節性T細胞の誘導、T細胞抗原受容体の再構築法による抗原特異的制御、NKT細胞による自己免疫応答の制御、に関する基盤技術の開発を進めてきた。これらは、免疫難病の抗原特異的制御法を確立するうえで重要であり、国際的にもユニークで発展性のある研究である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-02
更新日
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