進行性腎障害に関する調査研究

文献情報

文献番号
200633043A
報告書区分
総括
研究課題名
進行性腎障害に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-034
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
富野 康日己(順天堂大学医学部腎臓内科)
研究分担者(所属機関)
  • 川村 哲也(東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科)
  • 小山 哲夫(茨城県立医療大学)
  • 斉藤 喬雄(福岡大学第四内科)
  • 東原 英二(杏林大学医学部泌尿器科)
  • 遠藤 正之(東海大学医学部腎代謝内分泌内科)
  • 林 松彦(慶應義塾大学医学部内科学)
  • 西村 裕之(桐蔭横浜大学工学部人間科学工学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
29,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
進行性腎障害のなかで患者数の多い4疾患について、診療指針を再評価する。疫学研究、臨床試験、動物実験を行い新たなエビデンスを確立し、診療指針の改訂を行う。
研究方法
IgA腎症分科会:①アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)の腎保護作用に関する多施設共同研究、②腎病理所見と予後の関連に関する後ろ向きおよび前向き多施設共同研究および③扁桃摘出術とステロイドパルス療法の有効性に関する多施設共同研究を行う。急速進行性糸球体腎炎(RPGN)分科会:全国の主要腎疾患診療施設に対するアンケート調査により、RPGNの実態調査を行う。難治性ネフローゼ症候群分科会:プレドニゾロン(PSL)とシクロスポリン(CyA)およびPSLとミゾリビン(MZR)併用療法の多施設共同研究を行う。多発性嚢胞腎(ADPKD)分科会:ADPKDに対するイコサペント酸(EPA)の腎不全進行抑制効果を検討する。疫学調査班:1995年の全国調査で把握されたIgA腎症患者について予後調査を行う。遺伝子操作動物による進行性腎障害疾病モデル開発に関する研究班:腎疾患研究のためのモデルマウスを作製する。難病特別研究班:SLEモデルを用いて、責任遺伝子の連鎖解析を行う。
結果と考察
IgA腎症分科会:①尿蛋白減少作用については、ARB群がACE阻害薬群に比し、効果が高い可能性が示めされた。②糸球体の急性病変と慢性病変を付記した腎組織学的重症度分類(案)を作成した。③登録患者数を増やし、調査をすすめている。急速進行性糸球体腎炎分科会:治療開始時腎機能は年々改善し、早期発見・早期治療がなされていることが明らかになり、死亡率の改善が示めされた。難治性ネフローゼ症候群分科会:PSLとCyAおよびPSLとMZR併用療法に関して、観察期間が終了した症例の大部分で治療効果がみられた。多発性嚢胞腎分科会:腎容量の増加抑制効果と腎機能保護作用は、ともに認められなかった。疫学調査班:10年腎生存率は約85%で、10年前の本研究班からの報告と同じであった。遺伝子操作動物による進行性腎障害疾病モデル開発に関する研究班:Cre-LoxPシステムを用いたトランスジェニックマウスを作製した。難病特別研究班:Lupus腎炎を示すSLEモデルにおいてFcgr2b遺伝子の発現制御の異常が自己寛容の破綻に重要な役割を果たしていることが示された。
結論
各疾患の多施設共同臨床治験について、かなりの効果がみられているが、エビデンスの確立に向け、十分な症例数を得るため、全国の医療機関に積極的な参加を呼びかけたい。

公開日・更新日

公開日
2007-04-02
更新日
-