神経皮膚症候群に関する調査研究

文献情報

文献番号
200633041A
報告書区分
総括
研究課題名
神経皮膚症候群に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-032
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
中山 樹一郎(福岡大学医学部皮膚科)
研究分担者(所属機関)
  • 片山 一朗(大阪大学大学院医学研究科皮膚科)
  • 大塚 藤男(筑波大学 臨床医学系)
  • 大野 耕策(鳥取大学 医学部 脳神経小児科)
  • 佐谷 秀行(熊本大学大学院 医学薬学研究部 腫瘍医学分野)
  • 土田 哲也(埼玉医科大学 皮膚科)
  • 中川 秀己(東京慈恵会医科大学 皮膚科)
  • 中村 耕三(東京大学大学院 医学研究科 整形外科)
  • 樋野 興夫(順天堂大学 医学部 病理腫瘍学)
  • 水口 雅(東京大学大学院 医学研究科 小児科)
  • 吉田 純(名古屋大学大学院 医学研究科 脳神経外科)
  • 古村 南夫(島根大学 医学部 皮膚科)
  • 縣 俊彦(東京慈恵会医科大学 環境保健医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
神経皮膚症候群の分子レベルの研究の知見をもとに病態のさらなる解明と新治療法の開発を目指す。
研究方法
基礎研究では融合プロテオミクスにより関連するシグナル分子や翻訳後修飾反応を解明する。RNA干渉によるNF1、NF2のノックダウンで関連遺伝子を網羅的に同定する。超音波によるNF1細胞へのインターフェロンγ遺伝子を導入し、腫瘍増殖抑制効果を検討する。ヌードマウスを用いてIAI.3B遺伝子を導入した御こりティックアデノウイルスによるNF1に対する抗腫瘍効果を検討する。TSではEkerラットにおけるtuberinの信号伝達を解析する。臨床研究ではNF1,NF2の臨床調査個人票の改訂、NF1の先天性脛骨偽関節症に対する骨癒合程度を計測する手法を確立する。疫学調査研究では疫学斑とも協力して全国規模の疫学調査を実施する。
結果と考察
プロテオミクスの融合的手法によりニューロンのアクソン形成に関してCRMP2分子の非リン酸化フォームの重要性が判明した。より安全でvivoへの臨床応用が可能な超音波導入によるインターフェロンγ遺伝子の効果を検討し、腫瘍増殖抑制効果を確認した。AdE3-IAI.3Bをヌードマウス移植NF1腫瘍内投与したところ増殖抑制効果が示唆された。TSの原因遺伝子tuberinの上流遺伝子解析を行い、リン酸化特異的抗体を用いてwestern blot 法を用いて、tuberin下流から上流へのネガティブフィードバック等が示唆された。臨床研究では、NF1の重症度分類においてstageIV, Vの患者およびNF2の患者は医療費公費の対象となっている。そこでNF1とNF2の臨床調査個人票の一部改訂を行い、内容について分かりにくい点を改善した。疫学調査研究では疫学斑とも綿密な協力体制をとり、3回目の全国疫学調査を実施した。前回での調査と比較して、NF2患者が増加していた。
結論
NF1、NF2、TSの原因遺伝子解析により、その病態制御シグナルに多くの知見が得られた。NF1の遺伝子治療への具体的な方向性が示唆された。TSに関しては特にEckerラットを用いた研究により多彩な症候の分子病態の機序が更に明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2009-04-16
更新日
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