混合性結合組織病の病態解明と治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200633040A
報告書区分
総括
研究課題名
混合性結合組織病の病態解明と治療法の確立に関する研究
課題番号
H17-難治-一般-031
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
三森 経世(京都大学大学院医学研究科内科学講座臨床免疫学)
研究分担者(所属機関)
  • 藤井 隆夫(京都大学大学院医学研究科内科学講座臨床免疫学)
  • 澤井 高志(岩手医科大学病理学第一講座)
  • 高崎 芳成(順天堂大学医学部膠原病内科)
  • 川畑 仁人(東京大学医学部附属病院)
  • 田中 廣壽(東京大学医科学研究所)
  • 原 まさ子(東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター)
  • 岡田 純(北里大学健康管理センター)
  • 吉田 俊治(藤田保健衛生大学リウマチ感染症内科)
  • 諏訪 昭(東海大学医学部リウマチ内科)
  • 三森 明夫(国立国際医療センター)
  • 京谷 晋吾(国立循環器病センター心臓血管内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
混合性結合組織病(MCTD)はわが国に多い疾患であり,独自の病像と自然歴を有し,肺高血圧症(PH)を主な死因とすることが明らかにされてきた.しかし,MCTDの病態形成機序はなお不明であり,生命予後の悪いPHの治療法についてもなお多くの問題がある.MCTDの病態解明と治療法確立のため,抗U1RNP抗体および他の液性因子の病因的意義,MCTDに合併するPHの病態解明と治療,エビデンスに基づくMCTD治療ガイドラインの策定,を重点研究課題とし歴代の研究班で未解決であった課題の解決を目指す.
研究方法
多施設共同研究による抗U1RNP抗体陽性膠原病患者の肺動脈性PHに対する副腎皮質ステロイド療法の検討,培養肺血管内皮細胞(HPAEC)を用いた新たな抗血管内皮細胞抗体の検出と病原性の追及,ヌードマウスへのT細胞移入による抗U1RNP抗体産機序の解析,血管運動性に関与する液性因子や転写因子によるMCTD-PHの病態形成機序の追及,MCTD-PHのステロイド療法および免疫抑制薬の有用性の検討,MCTD-PHに対する血管拡張療法の適応と有用性の検討,を行なった.
結果と考察
1)抗U1RNP抗体陽性PH患者に対するステロイドの有用性を検討するための前向き試験プロトコールを作成し,多施設臨床研究を開始した.2)MRL-lprマウスから抗U1RNP抗体産生ハイブリドーマ産生に成功した。3)MCTDで肺動脈血管内皮細胞(HPAEC)に特異的に反応する自己抗体が検出され,その対応抗原候補としてNucleophosminを同定した.4)CD4+CD25-T細胞をヌードマウスに移入すると抗U1RNP抗体産生が惹起されることを確認した.5)PHに関わる因子として,血管平滑筋増殖を抑制するHEXIM1,血管拡張因子NOSの合成酵素NOS2の遺伝子多型,血管平滑筋増殖を誘導するAngiopoietin-1,脳性Na利尿ペプチドN末端断片が解析された.いずれもPHとの関与が推定され,PHの新たな診断治療への方向性が示唆された.6)重症PH合併膠原病患者におけるエンドセリン受容体拮抗薬ボセンタンの有効性を確認した.
結論
MCTDの病態解明と治療法確立のため,自己抗体などの液性因子の病因的意義,MCTD-PHの病態の解明と治療法の確立を重点研究課題とし,新たな成果が得られつつある.これらの成果は,最終年度に予定しているエビデンスを重視したMCTDの診療ガイドラインの作成に生かされることが期待される.

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
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