肝内結石症に関する調査研究

文献情報

文献番号
200633036A
報告書区分
総括
研究課題名
肝内結石症に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-027
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
跡見 裕(杏林大学医学部外科)
研究分担者(所属機関)
  • 二村雄次(名古屋大学大学院医学研究科腫瘍外科)
  • 田妻 進(広島大学病院医系総合心療科総合診療医学)
  • 永井秀雄(自治医科大学消化器外科)
  • 税所宏光(千葉大学大学院医学研究院腫瘍内科学)
  • 中沼安二(金沢大学医学系研究科形態機能病理学)
  • 森 俊幸(杏林大学医学部外科)
  • 八坂貴宏(長崎県離島医療圏上五島病院消化器外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班の目的は(1)肝内結石症の疫学調査。(2) 成因を生活習慣の関連から解明する。(3)低侵襲的で費用効果の良い診断法を検討し病型分類を再検討する。 (4) 本症における肝内胆管癌の発生機序を解明する。 (5) 治療法を検討する。(6)診断基準を作成し、治療指針を見直すことである。
研究方法
上記目的達成のため、1) 疫学調査疫学調査(全国疫学調査、症例対照研究、コホート調査)2)画像診断、病型分類 3)成因解明 4)治療法研究5)発癌研究 6)治療指針作成 の各ワーキンググループを組織した。(1)全国疫学調査では2005年に肝内結石症で、外来・入院加療を行った肝内結石症症例をを対象とした。コホート研究は第一次調査から10年経過した第5回調査症例473例を対象とし、結石再発や胆管癌の危険因子、予後規定因子を解析した。画像診断、病型分類WGでは、肝内結石症診断指針(案)2007を策定した。発癌研究では胆管異形上皮の診断基準を策定し、国際的コンセンサスを諮った。治療WGでは、治療に関する全国調査ならびに新規薬剤の治療効果を検討した。
結果と考察
コホート研究では、調査票回収率が31.5%であり、結論を得るには不十分であるが、回収された148例をみると、主に通院で経過をみており、その67%は治癒/不変であった。結石再発が14%、胆道癌を8例(5.4%)、胆道系以外の悪性腫瘍を13例(8.8%)に認めた。またすでに死亡している症例は19例(28%)であった。症例対照研究では肝内結石症と喫煙や輸血歴などの関連性が示された。肝内結石症診断指針(案)2007では、画像診断を主に拾い上げ診断、確定診断、治療を前提とした詳細診断に階層化し、それぞれにおける超音波診断、CT診断、MRI、直接造影法の役割を明記した。発癌WGでは肝内胆管癌の前癌病変であるbiliary intraepithelial neoplasia (BilIN)診断基準を作成し国際的コンセンサスを得た。治療WGでは現況の把握とともに、インチンコウトウの有用性が示された。
結論
肝内結石症は未だに予後不良であり、死因としては胆管癌や他部位癌が多く、その早期診断法の確立が急務である。本研究班では、これらの疫学的調査に加え、画像診断指針を策定し、治療法を検討している。これらの成果をもとに肝内結石症診療指針を策定する予定である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
-