呼吸不全に関する調査研究

文献情報

文献番号
200633033A
報告書区分
総括
研究課題名
呼吸不全に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-024
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
久保 惠嗣(信州大学医学部内科学第一講座)
研究分担者(所属機関)
  • 西村 正治(北海道大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野)
  • 栗山 喬之(千葉大学大学院医学研究院加齢呼吸器病態制御学)
  • 赤柴 恒人(日本大学医学部呼吸器内科)
  • 三嶋 理晃(京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学)
  • 瀬山 邦明(順天堂大学医学部呼吸器内科)
  • 石坂 彰敏(慶應義塾大学医学部呼吸器内科)
  • 長瀬 隆英(東京大学医学部附属病院呼吸器内科)
  • 永井 厚志(東京女子医科大学第一内科学講座)
  • 友池 仁暢(国立循環器病センター)
  • 坂谷 光則(国立病院機構近畿中央胸部疾患センター)
  • 佐久間 聖仁(女川町立病院)
  • 木村 弘(奈良県立医科大学内科学第二講座)
  • 大井 元晴(互恵会 大阪回生病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
34,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
呼吸不全関連疾患(若年性肺気腫を含む慢性閉塞性肺疾患(COPD)・肺リンパ脈管筋腫症(LAM)・肥満低換気症候群を含む閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)・肺胞低換気症候群・原発性肺高血圧症(PPH)・慢性血栓塞栓性高血圧症(CTEPH))を対象として、病因・病態の探求、新たな治療法の模索・開発を目指す。
研究方法
臨床疫学的・病理学的・分子生物学的および遺伝子学的解析を駆使し発症機序・病態を解明すると共に、治療法の確立を目指して多方面からアプローチした。
結果と考察
COPDに関して:細胞老化により惹起された炎症と肺胞細胞の増殖停止が肺胞の再生を妨げ、肺気腫病変の形成を促進させ、アディポネクチンやT細胞は抑制的に作用すること、肺気腫は骨格筋機能異常、体重減少など全身にも影響を与えること、肺気腫疾患感受性遺伝子として、TGFβ1遺伝子多型の関与、線維症合併肺気腫では肺癌の合併率が高いこと、補中益気湯は栄養状態・炎症病態の改善に有効、カルボシステインは急性増悪の抑制、QOLの改善をもたらすこと、急性期および慢性期NPPV療法の充実はCOPDの長期予後を改善することを報告した。
LAMに関して:LAMの治療・管理の手引きを作成。気管支の脆弱化と器質的変化が閉塞性障害の1つの原因となり、LAM細胞に発現したEMMPRINがMMPsの誘導を介して、嚢胞形成を引き起こすこと、GnRH療法は乳糜漏の減少に有効であることを報告した。
OHSを含むSASに関して:OHSおよび重症OSASでは高率にメタボリック症候群(MS)を合併し、内臓肥満とOSASは独立したMSの危険因子であること、高炭酸ガス血症にレプチンによる呼吸刺激作用の減弱が関与すること、CPAP療法は低下したLipoprotein Lipase 活性を上昇させ、脂質代謝改善をもたらし、動脈硬化を予防することを報告した。
PPHおよびCTEPHに関して:CTEPH治療ガイドラインの改訂をおこなった。肺動脈性肺高血圧症に対する多剤併用療法の有効性が示唆されたこと、CTEPHの肺血管内皮障害に対して血管内皮前駆細胞の減少による血管内皮の修復障害が関与することを報告した。
結論
呼吸不全関連6疾患の病態、発症機序、合併症・予後との関連など一端が明らかとなり、新たな治療法の可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
-