びまん性肺疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
200633032A
報告書区分
総括
研究課題名
びまん性肺疾患に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-023
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
貫和 敏博(東北大学加齢医学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 丘(東北大学加齢医学研究所)
  • 杉山 幸比古(自治医科大学)
  • 江石 義信(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 吾妻 安良太(日本医科大学)
  • 福田 悠(日本医科大学)
  • 慶長 直人(国立国際医療センター研究所)
  • 河野 修興(広島大学大学院 医歯薬学総合研究科)
  • 曽根 三郎(徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 菅 守隆(社会福祉法人恩賜財団 済生会熊本病院)
  • 吉澤 靖之(東京医科歯科大学)
  • 松島 綱治 (東京大学大学院医学系研究科 )
  • 滝澤 始(帝京大学医学部附属溝口病院)
  • 井上 義一(独立行政法人国立病院機構 近畿中央胸部疾患センター 臨床研究センター)
  • 上甲 剛(大阪大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
42,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
特定疾患治療研究事業対象疾患である特発性間質性肺炎とサルコイドーシスに加え、びまん性汎細気管支炎,さらに難治で知られる狭窄性細気管支炎を対象疾患とし、全国疫学調査、基礎的病態の解明に基づく臨床的な早期診断法および新治療法の確立を目的とした。
研究方法
特発性間質性肺炎に関しては、診断と治療に関する新ガイドラインに基づいて、難治性である特発性肺線維症患者のより詳細でかつ総合した臨床経過を明らかにするために、専門施設によるWEB登録制による臨床データの解析を行った。また特発性間質性肺炎およびサルコイドーシスに関しては個人票を活用してのデータも集約し、患者の臨床病態を解析した。肺線維症に高率に合併する肺がんの治療に関するガイドライン策定の準備を開始した。また肺線維症患者の予後を決定する急性増悪の患者の基礎病態解析を行った。さらに患者検体を用いての種々の遺伝子産物の解析、画像解析、病理組織検体を用いての新しいアプローチに加え、疾患モデル動物や細胞株を用いての基礎的な検討を行った。
サルコイドーシスに関しては新しい診断基準の作成を開始した。また欧米で報告された遺伝子異常が日本の家族性サルコイドーシスでも検出されたことから非家族性サルコイドーシスの臨床調査などを今後の研究課題に加えることとした。
びまん性汎細気管支炎に関しては難治化関連遺伝子同定に関して進展させた。
狭窄性細気管支炎に関してはアマメシバの動物実験を試みその発症機序の解明を試みた。
結果と考察
特発性間質性肺炎の新しい診断と治療のガイドラインに準拠して、専門施設によるWEB登録制度が実施され、多数の患者の長期にわたる臨床記録が合同で調査可能になったことは極めて貴重である。新個人票に基づく調査とあわせて、今後の厚生医療対策にも役立つことが期待される。また、間質性肺炎を併発している肺がん患者の治療ガイドライン策定に着手したことも医療現場の要求にこたえる意味で極めて重要である。間質性肺炎患者の生命予後を左右する急性増悪の発症機序に関しては進歩を認めた。分子標的薬剤に関しても今後の新しい治療の開発が大きく期待できる成果が得られた。狭窄性細気管支炎に関しては依然としてその難治性が強調されるものの診断および治療の点でさらに発展が必要である。
結論
これらの研究は難治性びまん性肺疾患に対する新しい診断法の確立と治療戦略の基礎となることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
-