ウイリス動脈輪閉塞症における病態・治療に関する研究

文献情報

文献番号
200633027A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイリス動脈輪閉塞症における病態・治療に関する研究
課題番号
H17-難治-一般-018
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 信夫(京都大学大学院医学研究科脳統御医科学系専攻脳病態生理学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 宝金清博(札幌医科大学医学部脳神経外科学講座)
  • 冨永悌二(東北大学大学院医学系研究科神経外科学神経科学)
  • 宮本享(国立循環器病センター脳神経外科)
  • 鈴木則宏(慶應義塾大学医学部神経内科学)
  • 野川茂(東京歯科大学市川総合病院内科学)
  • 中川原譲二(中村記念病院脳神経外科)
  • 小泉昭夫(京都大学大学院医学研究科社会医学専攻系環境衛生学分野)
  • 北川一夫(大阪大学大学院循環器内科学医学研究科)
  • 永田泉(長崎大学医歯薬学総合研究科病態解析制御学)
  • 黒田敏(北海道大学大学院医学研究科神経病態学講座脳神経外科)
  • 菊田健一郎(京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座脳神経外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
疫学および画像データベースの作成および解析を行い来年度のもやもや病診断治療ガイドライン作成につなげる
研究方法
もやもや病新規データベース継続し、全国1000施設で類もやもや病・片側もやもや病の全国調査を行った。家族性もやもや病家の遺伝子解析およびMRIを用いたもやもや病の診断、治療部責を行った。JAM trialを継続した。
結果と考察
宝金は昨年度MRAを用いた診断および病期分類を完成させたが、さらに本年度は北海道地域の2002年から2006年における疫学調査を行い、年齢分布が従来小児と成人の二峰性であったものが成人例の増加と小児例の減少により二峰性が薄くなっていることを指摘した。また本疾患の発生率、有病率が増加し、女性症例、無症候性例、家族歴を有する症例が増加してきていることを指摘した。富永らはガイドライン作成に向けH16年までに報告された文献を整理しエビデンスレベル分類を行った。宮本は出血型もやもや病に対する直接バイパス術の効果を検討するJAM trialにおいて完遂まで十数例にまで至っている。鈴木らはもやもや病疫学データベースを更新しつつありその962症例の検討から抗血小板治療施行患者に脳卒中発生が多い傾向を指摘した。また非手術群において血管重症度が悪化する傾向にあることも同時に指摘した。野川らはデータベース653例の検討から頭痛型、無症候性型がおのおの7.3%, 4.3%に認められ頭痛型の脳卒中再発率が高いことを指摘した。中川原はIMZ-SPECT解析が本疾患における高次脳機能障害の指標になりうることを報告した。高次脳機能障害が本疾患のADL低下の大きな要因となる可能性について指摘されており、軽症者判定において本検査法が有用になる可能性がある。小泉らは家族性もやもや病遺伝子解析を行い常染色体優勢遺伝明らかにし、候補遺伝子領域を17q25-terに同定した。今後病態解明の突破口となりうると考えられる。北川は類もやもや病の全国調査を行い、類もやもや病においても、もやもや病と同様の血行不全状態にあることを指摘した。永田は片側もやもや病の全国疫学調査により332症例を集積した。黒田は無症候性もやもや病の調査を行い症候性に至る頻度を報告し、無症候性といえども発作予備群が潜在する危険を指摘した。菊田は脳微小出血について150例のMRIデータベースを作成し小規模前向き追跡研究において、多発性微小出血の存在がもやもや病における出血の危険因子になりうることを指摘した。
結論
研究は計画通り進行している。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
-