原発性高脂血症に関する調査研究

文献情報

文献番号
200633020A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性高脂血症に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山田 信博(筑波大学・大学院人間総合科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 齋藤 康(千葉大学大学院医学研究院)
  • 及川 眞一(日本医科大学第三内科)
  • 島本 和明(札幌医科大学医学部第2内科)
  • 上島 弘嗣(滋賀医科大学医学科福祉保健医学)
  • 白井 厚治(東邦大学医学部附属佐倉病院)
  • 石橋 俊(自治医科大学内科学講座)
  • 太田 孝男(琉球大学医学部育成医学)
  • 武城 英明(千葉大学大学院医学研究院)
  • 山下 静也(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 島野 仁(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 後藤田 貴也(東京大学大学院医学系研究科臨床分子疫学)
  • 清原 裕(九州大学大学院医学研究院環境医学)
  • 林 登志雄(名古屋大学医学部附属病院老年科)
  • 荒井 秀典(京都大学医学部附属病院老年内科)
  • 小林 淳二(金沢大学大学院医学系研究科生活習慣病講座)
  • 斯波 真理子(国立循環器センター研究所バイオサイエンス部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
21,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は、原発性高脂血症研究の中でも、特にハイリスク高脂血症に焦点を絞りより効率的な動脈硬化予防を目的とした高脂血症診療ガイドラインの作成を計画の目標としている。 原発性複合型高脂血症は、原発性高脂血症のなかでも家族性高コレステロール血症とならんで動脈硬化症のハイリスク群として重要である。
研究方法
本年度は、この高脂血症を最も反映するIIb型高脂血症の解析を,班員らが研究対象としている各集団において展開した。 IIb型高脂血症は、高コレステロール血症と高トリグリセリド血症との両方を合併する。 従って,本研究は LDLコレステロールにもとづいた動脈硬化のリスク評価に高トリグリセリド血症のリスクを加算した解析となる。 
結果と考察
統合すると、IIb型高脂血症は、一般集団と外来患者、世代、男女を問わず,総じて高脂血症に加えてそれ以外の動脈硬化症リスク重積の傾向が強く,特に肥満やメタボリックシンドロームの割合が高かった。 既往については,特に虚血性心疾患が多い傾向にあった。 この傾向は特に男性で顕著であり、女性の場合は,原発性複合型高脂血症などの関与も推測された。
結論
今後,IIb型高脂血症は、メタボリックシンドロームや動脈硬化症に対するハイリスク予備軍として,高脂血症そのものの治療に加えて他のリスク管理も必要である。 またその指標として、nonHDLコレステロールが優れていた。
昨年来の結果をふまえ以下の指針を提案する。 
高トリグリセリド血症の診療指針
1. 診療指針はリスク評価などの病態評価も含めて、現在のLDLコレステロールの診療指針(動脈硬化学会の動脈硬化性疾患診療ガイドライン)に準拠することを原則とする。
2. 高トリグリセリド血症における動脈硬化惹起性リポ蛋白がHDL以外のリポ蛋白であること、高トリグリセリド血症ではしばしば低HDLコレステロール血症を伴うことから、nonHDLコレステロール(TC - HDLコレステロール)を診療指標として用いる。nonHDLコレステロールはLDLコレステロール、レムナント、IDL, small dense LDLの要素を包含すること、食事の影響が小さいこと、新たな検査を加える必要のないことがメリットである。国内外の報告より、nonHDLコレステロールの目安は概ねLDLコレステロール+30である.                
3. 500mg/dl以上の高トリグリセリド血症では急性膵炎の予防を念頭に置くべきである。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
-