間脳下垂体機能障害に関する調査研究

文献情報

文献番号
200633017A
報告書区分
総括
研究課題名
間脳下垂体機能障害に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-008
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
千原 和夫(神戸大学大学院医学系研究科 応用分子医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 石川 三衛(自治医科大学附属大宮医療センター 総合医学)
  • 苛原 稔(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 発生発達医学)
  • 大磯 ユタカ(名古屋大学大学院医学系研究科 内科学)
  • 長村 義之(東海大学医学部 病理診断学)
  • 島津 章(国立病院機構京都医療センター 臨床研究センター)
  • 須田 俊宏(弘前大学医学部 内科学)
  • 巽 圭太(大阪大学大学院医学系研究科 臨床検査診断学)
  • 田中 敏章(国立成育医療センター 臨床検査部)
  • 寺本 明(日本医科大学 脳神経外科学)
  • 橋本 浩三(高知大学医学部 内科学)
  • 肥塚 直美(東京女子医科大学 内科学)
  • 平田 結喜緒(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 内科学)
  • 森 昌朋(群馬大学大学院医学系研究科 内科学)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学院 技術評価部)
  • 有田 和徳(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 脳神経外科学)
  • 柳瀬 敏彦(九州大学大学院医学研究院 内科学)
  • 置村 康彦(神戸大学医学部 内科学)
  • 清水 力(北海道大学病院 検査部)
  • 菅原 明(東北大学医学部附属病院 総合診療部)
  • 高野 幸路(東京大学医学部 内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
31,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
間脳下垂体疾患の病因、病態を把握し、有用な診断治療法を確立する。
研究方法
A)基礎研究、B)臨床研究、およびC)疫学研究が各分担研究者によって行なわれた。それぞれ手法は異なるので詳細は結果と考察の項に併せて記載する。
結果と考察
A) lovastatinは、炎症性cytokineを産生するmicroglia の病変部に対する集積を抑制し、SIADH治療の合併症である橋中心髄鞘崩壊 の発症予防に有効であることが示された。アクアポリン-2遺伝子-1.1kbまでの上流には、低浸透圧によりcAMPによる転写活性が減弱する領域が存在することが示唆された。ACTH産生下垂体腺腫ではCRHR、V1bR、11β-HSD2発現が亢進しており、これがACTH分泌異常の一因である可能性が示唆された。ソマトスタチン(SS)アナログに関して次の成績が得られた。血管新生因子発現抑制を介した腫瘍増生阻害作用の存在、開口分泌機構に対する直接抑制作用、腫瘍縮小効果におけるsstr 2,5 mRNAの重要性。家族性の先天性下垂体ホルモン複合欠損症における全ゲノムSNP解析が行なわれた。
B) 多嚢胞性卵巣症候群の診断基準の問題点が検討された。Preclinical Cushing病診断の手引の妥当性について再検討が行なわれた。GH分泌異常症の診断と治療に重要なIGF-I基準値が再設定された。成人同様、小児においてもGHRP2試験の成長ホルモン分泌不全症(GHD)診断法としての有用性が確認された。成人GHDではNAFLD発症リスクが高いことが示唆された。GH分泌異常症ではメタボリックシンドローム類似病態の発症頻度が高いことが判明した。小さく浸潤度が低い下垂体偶発腫ではMRIで経過を追うべきであるという成績が得られた。先端巨大症例手術後の腫瘍性、非腫瘍性のGH分泌能について検討された。
C) 間脳下垂体機能障害長期予後追跡調査の解析計画が作成された。間脳下垂体疾患データベースが構築され、患者登録が開始された。日本人に適合した下垂体機能低下症患者QOL調査票が作成され、その有用性が明らかとなった。北海道における下垂体機能障害、東北大学におけるクッシング病・症候群の症例解析が行なわれた
結論
以上の成果は、間脳下垂体機能障害の新たな治療法を開発するうえで有用であると考える。また、間脳下垂体データベース・新規診断法の活用が期待される。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
-